『大菩薩峠』(1960年 日本)
今でいうとパク・ソジュン?
市川雷蔵&中村珠緒の三隅研次監督版を内田吐夢監督版と比較してみる。
今朝の1日1映画は『大菩薩峠』(1960年 日本)を鑑賞。
おなじみ中里介山の原作を映画化した『大菩薩峠』作品はたくさんあり、先日は片岡千恵蔵主演の東映・内田吐夢監督版を見ましたが、今回は市川雷蔵主演の大映・三隅研次監督版の方です。
その比較を見てみようと。
主人公の机竜之助(つくえ・りゅうのすけ)は剣術マスターで、腕試しで道行く人を斬る(辻斬り)、怒ると相手を斬りつけるなどサイコパスなダークヒーローなんですが、そんな悪い人をどう描いているか。
だらだらして酒ばかり飲んでいるおじさんが殺陣になるとどんどん敵を倒すというダメな人&凄腕という「ギャップ」値の幅が広いのは、片岡千恵蔵ですね。
反対に市川雷蔵は緊張感がすごい。
横になっている時も酒は飲まないし、常に敵からの攻撃や殺気を意識して準備している感じ。
ギャップはない代わりに「ドキドキ感」があります。
この年齢の違いっていうのも、この物語における仏教的で因果応報的な、魔物にさいなまれるという部分で、その深みの度合いが違ってくる。
片岡千恵蔵版を見た時に、見たからにダークな悪代官的な風貌が主人公としてはどうなのかなと思ったんですが、年齢を重ねただけその分苦労や囚われが深くなって、これはこれでいいのではないかと思います。
市川雷蔵はカッコいいのです。
いわゆる今で言う「パク・ソジュン」(『梨泰院クラス』『パラサイト・半地下の家族』)なのです(似てますよね!)。
なので、ギャップを生み出すよりも、そのままのキャラを生かすというか、007のジェームズ・ボンドぐらい「この人、欠点がないよね?」と言う方向性で描いてあると思います(ダークヒーローではありますが)。
まだ3部構成の1部しか見てないので何とも言えませんが、そういう違いはある気がします。
監督の描き方では、内田吐夢版は「ゆっくり・じんわり」&殺陣は「スピーディー」。
ミドルショットが多くてテンポは遅いんですが、殺陣だけ素早く斬るので、主人公は年齢に見合わずなかなかやるじゃん!という雰囲気があります。
また、全体的にライティングもふんわりしていて、闇の描き方にもムードや雰囲気がある。
一方、三隅研次版はズームは早く、顔や目元のアップを巧に入れ込んであり、登場人物の気持ちを画で切り取る。
漫画のコマ割りのような劇的なシーンがたくさんあるんですよね。
市川雷蔵も若いし、妻のお浜役の中村珠緒も当時21歳で美しく、アップショットも見とれてしまう感じがあります。
メイクは濃いんですが、ある意味キャラを演じているコスプレ感がありますね。
その他の登場人物に違いもあるんですが、先に内田吐夢監督版を見てしまっているのでちょっと引きずられてしまいます…。
2部、3部も見ていこうと思います。
↓予告編