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「目が見えない人間が恐怖を感じる距離感は常人と違う」(by勝新太郎)
五感で気配を巧みに感じ取る圧巻の立ち回り
今朝の1日1映画は『座頭市物語』(1962年 日本)を鑑賞。
博打のツボ振りと居合抜きの達人である盲目の男・座頭市(勝新太郎)。
市は肺を患う浪人・平手造酒(天地茂)と知り合い友情の念を抱くが、平手は助五郎と対立する笹川一家の食客だった。
やがて市と平手は、運命的な対決へと導かれていく…。
子母沢寛の随筆集『ふところ手帖』に記された市の短いエピソードをもとに、大映時代劇の旗手・三隅研次監督が手掛けた大ヒット・シリーズの記念すべき第1作。
勝新太郎が盲目の居合抜きの達人・座頭市を演じ、彼の代表作となった人気作品です。
いやー、これは名作ですね。
北野武監督の『座頭市』(2003)は劇場で見たんですが、この勝新太郎版の方がやはり存在感にすごみを感じる。
座頭市の誠実さ、不器用さなどの人柄の良い人間性もにじみ出ているんですよね。
職業としてはやくざという悪者だけど、人間性は良い人という、共感できる主人公のキャラクターをちゃんと持っています。
また、勝新太郎はこの役を演じるにあたって「目が見えない人間が恐怖を感じる距離感は常人と違う」ということを注意して演じたそう。
相手がどのくらい近づいたら危険とみなし、刀を抜かなければならないのか。
また相手が誰なのか、向きはどっちの方向を向いているか、何で(音、においなど)気づくのか、を立ち位置や動線にすべて入れ込んであるんですよね。
三隅研次監督は、観客がパッと見気づかないような細かいところまで設定することによって「盲目の剣の達人」というありえないキャラクターにリアリティーを持たせています。
カメラワークは非常に緩急があって、頭が切れるくらいのアップショットを多用し構図も美しい。
視覚の代わりに聴覚や皮膚感覚を研ぎ澄まして物事を捉える様子をうまく表現しています。
またホイップズームイン&アウト、ゆっくりティルトダウン、360度回転、ソラリゼーション(ネガ焼き)なども。
テーマ曲は伊福部昭(『ゴジラ』などで有名)が作曲し、ティンパニーのドーンという音が印象的。
敵との友情、ほのかな恋という、葛藤も恋愛もすべて織り込んである面白さ。
三隅研次監督作品、ほかにも見ていきたいです。
↓予告編(PV風)