『ある用務員』(2021年 日本)
福士誠治が映画初主演
用務員が少女を守るクライムノワール
今朝の1日1映画は『ある用務員』(2021年 日本)を鑑賞。
高校の用務員として勤務している深見(福士誠治)。
父親が元暴力団員だった深見がそこで働く理由は、父親の兄弟分である真島(山路和弘)の娘・唯(芋生悠)を守るためだった。
暴力団の抗争の激化により真島が殺害され、跡目争いが勃発。
唯が狙われ、学校が抗争の場と化す中、深見は唯を学校から救出しようと立ち上がる…。
バイオレンス映画界の新星・阪元裕吾による完全オリジナル作品です。
去年映画館でやってた時に気になりつつも見逃していた作品。
福士誠治さん、この作品が映画初主演というのも驚き。
10年ぐらい前、福士さんのドラマ『チーム・バチスタ』や主演の舞台は見に行っていて、映画としては『日輪の遺産』などでの活躍が記憶にあります。
学校用務員が用心棒でありアサシン(刺客)という、そのギャップが面白いんですが、ストーリーが展開するうちに、守るべき人や憎むべき人が同時に生まれ、そこに葛藤が描かれていて、なかなか面白い。
伏線となる動作にもグッときますね。
学校の図書館、ピアノが置いてあるホールなど学校の特徴ある部屋を生かしたアクションが展開。
刺客が8人も出てくるんですが、人数多めの映画にありがちな「この人誰だっけ?」がない、個性豊かな分かりやすいキャラクター設定によりすべて把握できる点も良いです。
芝居も役が憑依しているのかアドリブかと思うくらいリアルで。
アクションシーンは場面が学校だからか、個人的にはコロンバイン高校銃乱射事件をテーマにした『エレファント』(2003年 アメリカ)のような雰囲気があって、無表情で殺していくシーンは日常に潜む恐怖が。
技法としては、ゆっくりズームイン&アウトでじわじわと人物の心情を表す部分や、ハンドカメラやクイックモーションのようなアクションならではの動きに魅了されます。
映画全体の色味がグレイッシュなブルーで、用務員の制服も同じようなグレー。
撃たれた時に深紅の血がにじむとアクセントとなり、青と赤で反対色のような効果があって、表現は変かもしれないんですけど、静かな綺麗さがあるんですよね。
血の色の赤と血管の色の青をこういったアクション映画に用いられると、命の儚さみたいなものを象徴的に表すような気がします。
そこに、窓から差し込む光が逆光となって主人公と守るべき唯(芋生悠)をシルエットで映し出す。
美しいです。
主人公の生い立ちについては、もう少しエピソードがあればなと思いますが、よく考えてみたらこのくらいがちょうどいいのかも。
福士誠治さん、非常にいい役者さんだなと思うので、これからもっと活躍してほしいです。
PS:この映画の制作委員会にU-NEXTが入っていて、U-NEXTでの配信ではキャストインタビュー、メイキングなどの特典映像も見ることができます。
↓予告編
↓こちらは同じく学校が舞台ですが、本当にあった事件の映画化。
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