カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

京都・大阪 映画ゆかりの地&ロケ地めぐり+αの旅

いつもご覧いただきありがとうございます!

最近日本映画を見ていて、全く知らない昔の映画を見ていくうち、大映映画の存在を知り、特に各作品で七変化する市川雷蔵さんの魅力ハマりまして。

同時代に生きていないのに、半世紀以上過ぎた今でも魅力が伝わってしまう…。

映画って罪ですねぇ(笑)。

というわけで、かつて京都に大映の撮影所があったらしい、そのゆかりの地やロケ地などをめぐろうと、先週旅をしてまいりました。

今回はそのレポになります。

 

まずやってきたのは京都・祇園にある八坂神社・西楼門(googleマップ)。


ちょうど祇園祭りの最中。

 

この西楼門を入ってすぐ右手に石灯籠が。
みんな素通りしている場所なので、人気(ひとけ)はないです。

 

これが八代目市川雷蔵、三代目市川壽海(養父)の石灯籠。

いつ設置されたものかは定かじゃないんですが、手を合わせてきました。
よく街中でこういった感じで碑に刻まれた名前を見ますが、あれって何もなければ何世紀もずっとあり続けるんですよね。
その頃には誰の名前か分からなくなっているんでしょうけれども。
歴史の重さを感じます。

 

向かいには、雷蔵さんが三代目市川壽海(養父)の前の養夫だった三代目市川九團次と奥様の亀崎はなさんの石灯籠も(雷蔵さんは2回養子になっています)。

 

せっかくなので八坂神社境内へ。
祇園祭の提灯が豪華にずらーっと並んでいます。

 

その中に、狂言師茂山千之丞さんの提灯を発見!
芸事にご利益がある神社なのでしょうか。
隣は聖護院八つ橋ですけどね(大好き)。

 

建立は貞観18年(876)とか斉明天皇2年(656年)とか言われる古い神社ですが、こういう塀の屋根や格子をよく見ると、細い板が何層にも重ねてあったり、素晴らしい細工が施してあったり。
色合いも素敵でうっとりです。

 

境内では生き物にも出会いました。
見えずらいですが、シオカラトンボ。コバルトブルーが綺麗です。

 

猫も寄って来る(ごはんは持ってないのに…)。

 

こちらは鴨川に沿って流れる細っそい高瀬川google マップ)ですが、カモも寄ってきました(京都のカモは人に慣れている!)。

次は電車で移動し、大映通り商店街google マップ)へ。大映の撮影所が無くなって半世紀以上経っていても、こうやって地域の人たちが映画を財産にして盛り上げているというその心意気がたまらないですね。

 


映写機デザインがかわいい。

 

垂れ幕も大魔神がお出迎え。

 

太秦といえば映画村しか知らなかったんですが、こういう商店街があることもみんなに知ってもらえたらいいですね。

 

商店街を進むと、三吉(さんきち)稲荷神社(google マップ)が。
いつ建立されたのかは不明ですが、別名“映画神社”と呼ばれています。

 


周りを取り囲む石柵には大正~昭和初期にかけて活躍した俳優さんの名前が刻まれています。
先日見た溝口健二監督の『瀧の白糸』(1933)の主演女優、入江たか子さんの名前も。


境内には、日本映画の父と呼ばれる牧野省三の碑が。
牧野省三は日本映画の基礎を築いた人物で、マキノ家で言うと、昨日見た『太陽の季節』の主演・長門裕之さんやその弟の津川雅彦さんが孫にあたり、マキノ雅弘監督から、俳優の加東大介さん、沢村貞子さん、藤原釜足さん、牧野アンナさんetcと、そうそうたる方々がいらっしゃいます。



碑の裏にもいろいろ書いてあるんですが、上の文字は消えている…。

 

下にはこの碑を建立した方々の名前が。
吉永小百合さんとか、由美かおるさんとか、いろんな映画関係者の名前が刻んであります。

境内には、ガラス張りで山田洋次監督が『キネマの神様』(2021)を撮影した時に祈願したと思われる直筆の絵馬が。

 

映画に出演されていたRADWIMPS野田洋次郎さんの絵馬。

 

その他佐々木蔵之介さんや藤野涼子さんなども。

 

私もお祈りしてきました。

 

商店街を進むと、映画をコンセプトにした『うずキネマ館』という建物が。
1階のレストラン「キネマ・キッチン」(google マップ)でランチをいただくことに。

 

現在も周りには松竹や東映の撮影所があるんですが、松竹撮影所のスタッフの方々の利用率も高いようで、食券にも対応。
映画作りのお腹を支えるいいお店ですね。

 

お店には所せましと昔の小型カメラや映写機など映画関連の道具がぎっしり!

こんな空間でご飯をいただけるなんて夢のようです。

 

あ、天上には勝新太郎さんが。

 

奥には市川雷蔵さんの作品のポスターに囲まれた部屋が。
行ったときには撮影所のスタッフらしき人々がいらっしゃって座れませんでしたが、後で撮らせていただきました。
映画の世界にどっぷり浸れそうです。

 

このあたりの映画はまだ見てないんですけどね(これからゆっくりじっくり)。

 

大魔神コーナーも。

 

こういう映写機もその昔には使っていたんでしょうね。

 

貴重なキャスト・スタッフの集合写真も。

 

貴重な生台本も!

 

その昔、大映の2大スター、“勝”新太郎さんと市川“雷”蔵さんのことを「カツライス(勝と雷)」と呼ばれていたそうなんですが、それにあやかったメニュー「カツライス」をいただくことに。
ボリューミーですよねー!

 

お味はふんわり卵のオムライスと、マイルドなカツカレーという感じ。
美味しくってペロっと食べちゃいました。


で、先月見たこの台本を手に(震える!)。

 

多分、撮影スタッフさんが使っていた台本と思われるんですが、キャスト欄に手書きの文字で名前が書きこんであります(達筆!)。
鰐淵晴子さんの漢字が「春」になっていて違いますけどね。

 


セリフがところどころ消してある。
帰って映画を確認してみると、この通りではなく、ざっくりとカットしてあったり、「~この眠狂四郎を~」が「~この狂四郎を~」になっていたり、セリフの順序を変えてあったりして、撮影時のセリフを生かしたり、編集で変わったりしていることが分かります。

 


カメラのアップショットの指示が。
帰って映画を確認してみると、本当にこのシーン、狂四郎のUPの後に、仏像のUPとなっていて、興奮。

 


大好きなセリフ、「たわけ! 人は神が創ったのではない、神こそ、人によって創られたのだ」が。
ほんと名セリフです(感涙)。

 


なんか、メモもあって。
シーンと、シーンナンバーと、数字。
何だろう。フィルムのフィート数かな。
当時の製作側のリアルなメモは貴重ですよね。
ぜひ行ってみてください。
食べログキネマ・キッチン - 撮影所前/カフェ | 食べログ

 


素敵なお店を後にして、しばらく商店街を歩くと、スーパー「にっさんクオレ太秦店」(google マップ)の前に高さ約5メートルのでっかい大魔神が!
今時だけにマスクをしています。
大魔神様、早くコロナを終息させてください!と祈願してきました。


商店街の横道を入ってしばらく行くと、マンションの前に碑が。

 

大映京都撮影所跡地です。(googleマップ
ここで、大スターによるいろんな撮影がされたと思うと感慨深いですね。

 

もうしばらく歩くと、太秦中学校の脇にも碑が。

 

大映株式会社 京都撮影所」のプレート碑。(googleマップ
かつて撮影所の正門に掲げられていたものです。

 

大映通り商店街付近をあとにして、次はロケ地巡りです。
大覚寺にやってきました。(googleマップ

 

市川崑監督『炎上』(1958)を撮影。
原作は三島由紀夫の長編小説『金閣寺』で、本当は金閣寺で撮影したかったそうなんですが、撮影許可が下りず、この大覚寺の池のほとりに原寸大のセットが建てられました。
撮影って、いろんな苦労がありますよね。
実際に炎上するシーンは、嵐山にミニチュアセットを建てて撮影したそう。
この池は、嵯峨天皇が築造したものといわれ、平安時代前期の名残をとどめる日本最古の人工の庭池とされているんですが、広くて素敵です。

その横に仏像が並んでいるんですが、こちらも平安時代からのものだそう。
背中に背景の石があって面白いですよね。

 

今昔物語集』にも出てくる「名古曽の滝」。
今もちょろちょろと流れていて、音がしています。

 

夏の京都は暑いと聞いていたんですが、確かに暑くて人はまばら。
でも夏にしか味わえない緑の美しさがあって、草の香りにも癒されます。

お寺の中にも入ってみました。
お寺の中から池をみるとこんな感じ。
見晴らしがいいです。

狩野山楽筆による紅梅図の襖絵。
複製ではありますが(本物は収蔵庫に)、美しさに見とれてしまいます。

 

侍とかお姫様が乗っていた乗物。
重いんでしょうね。
これで山を越え、谷を越え、何日もかけて移動していた昔の人は本当にすごい…。

 

菊紋のうち、八重菊の紋って天皇や皇室を表す紋章なんですが、嵯峨天皇離宮を寺に改めた皇室ゆかりの寺ということで、この紋が入っているんでしょうね。

大覚寺をあとにし、歩いて30分くらいかな、二尊院に到着です。(google マップ


本堂は京都市指定有形文化財
永正18年(1521年)、三条西実隆によって再建されました。
本堂に掛かるこの勅額(ちょくがく=天皇直筆の額)「二尊院」は後奈良天皇(1497-1557)が書いたもの。
京都って、ひょいとあるものがすべてめちゃくちゃ古く、そういうものがいたるところにたくさんあって、次元が違うんですよね…。

 


この「紅葉の馬場」と呼ばれる参道で撮られたのが、森一生監督の『薄桜記』(1958年)。
旗本・丹下典膳(市川雷蔵)が妻の千春(真城千都世)に離縁を言い出す帰り道の坂のシーンが撮影されました。
今から64年前の映画ですけど、ほとんど変わってない風景が目の前にある。
映画って時間を超えることができる不思議なツールですね。
ここ、モミジの枝が両脇から屋根のように垂れていて、秋はまた別世界な気がします。


こういう石段もあって、風情がありますよね(登るのはしんどいので見るだけ 笑)。

 


二尊院にお寺の中やお庭の所々に、季節の花を飾った「花手水」が。
今の季節は涼しげなガラスの器に飾られていて、目で涼しくなります。

 


手をあらう所もこんなに素敵。

 

青い空と木々の緑にお寺の風情ある建物。
夏の京都、暑いけどおすすめです。

 


最後に二尊院境内にある俳優 阪東妻三郎田村高廣親子のお墓に。
お寺の人に「田村正和さんも入っていらっしゃるのですか」と聞いてみたら、ここには入っていらっしゃらないですとのことでした。
お参りさせていただきました。

京都は以上です(この日1日で28,000歩も歩いていました!)。
大阪はまたの機会に。

最後までご覧いただきありがとうございます。

↓参考:今回ロケ地を見に行った映画です。


↓参考:今回台本を見た映画です。