『日曜日の人々』(1930年 ドイツ)
92年前のベルリンの風景や人々の恋模様を、生演奏付きで堪能
今日の1日1映画は、広島市映像文化ライブラリーでのイベント「サウンド・アンド・サイレント」で『日曜日の人々』(1930年 ドイツ)を鑑賞。
監督のロバート・シオドマク、エドガー・G・ウルマーが、アドルフ・ヒトラーが首相になる前のベルリンでの自由な人々の日常生活の描写しています。
サイレント映画のピアノ伴奏活動をしていらしゃるピアニスト柳下美恵さんによる即興演奏付き。
映画を見ながら1時間14分、映画の場面に合わせてピアノをずーーーーっと弾いてらっしゃって、それだけでもすごいんですが、今回はテーマ曲も少し作曲されていたり、動作のタイミングに合わせて同時に音が鳴ったりするので、何度もリハーサルをされたんだろうなと思うと本当に頭が下がる思いです。
舞台は世界恐慌が起こる寸前のベルリン。
主な登場人物は5人で、タクシー運転手のエルヴィン、妻のファッションモデルのアニー、レコード屋の店員ブリジット、その友達で映画のエキストラをしているクリストゥル、ワイン商のヴォルフガング。
そんな人々がナンパしたり、ダブルデートをしたりするんですが、そこで起こる恋模様やハプニング的な出来事が綴られて、意外に面白いんです。
キャラクターもプレイボーイやちょっと太っちょのコミカルキャラなど、設定が分かりやすい。
当時20代、30代の若手監督や脚本家が素人俳優さんを使って撮ってみようという遊び心のある作品で、写真でいうとスナップ写真のような気楽な風景や人物の描写があるんですが、実験的なクローズアップの連続や、コミカルな演出も入っていて。
脚本にはアメリカ亡命前のビリー・ワイルダー(マリリン・モンロー出演『お熱いのがお好き』などの監督で有名)が参加。
実験的な作品の中にも観客を楽しませようという意気込みを感じます。
今から92年前の映画ですが、そんなに古さを感じないのは、貴重な日曜日をいかに充実して過ごすかという課題は当時の人々も今と同じで、月曜日が憂鬱という“サザエさん症候群”もまったく今と同じなんですよね。
またハットやクロッシェをかぶったファッションやボブなどのヘアスタイルもオシャレだし、若い人の行動もそんなに今と変わらない。
ラストにはオチもあり、ちゃんと納まる。
こんなに幸せな日々を過ごしていたドイツの人々ですが、その後ナチスによる恐怖政治が始まると思うと、考えさせられますね。
古い映画を見るといろんな発見があるんですが、こうやって92年前の作品を楽しめるのも柳下美恵さんのような映画を盛り立ててくださる方があってこそ。
柳下さん曰く、映画のフィルムの上映スピードを変えられる映写機のある施設の存在も非常に貴重とのこと(フィルムのスピードに合わせて演奏のスピードを変えたりする場合もあるそう)。
入館料380円で贅沢なひと時が楽しめるこんなイベントがこれからも続くといいなと思います。
↓予告編
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