カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『太陽の季節』(1956年 日本)

センセーショナルな話題を巻き起こした石原慎太郎芥川賞受賞作を映画化。

今朝の1日1映画は『太陽の季節』(1956年 日本)を鑑賞。

高校生の津川竜哉(長門裕之)はボクシングと酒と女と喧嘩に明け暮れる日々を送っていた。

仲間たちと銀座に出た竜哉は武田英子(南田洋子)と知り合い、二人は逗子にある竜哉の家で結ばれる。

竜哉と英子はデートを重ね愛情を確かめ合うようになるが…。

芥川賞を受賞した石原慎太郎の同名小説を、古川卓巳が脚色・監督。

慎太郎の実弟である石原裕次郎が本作でデビューを果たした青春映画です。

原作は未読で、裕次郎の映画と思って見たんですが、主役は長門裕之南田洋子で(裕次郎は脇役)、2人の結婚のきっかけとなった作品。

先日見た『処刑の部屋』、『狂った果実』とあわせて「太陽族映画」と称されていたそうで、「太陽族」って聞いたことはあるけどどんな若者かは知らなかったんですが、なるほど、この映画が答えをくれました。

当時は高度成長期(1955年~1972年)が始まった頃。

神武景気」という朝鮮戦争(1950年~1953年)の特需や第二次中東戦争で商品相場などが高騰し、三種の神器と呼ばれた白黒テレビ、電気洗濯機、電気冷蔵庫が普及。

日本が一気にお金持ちになった時代なんですよね。

この映画に出てくる若者も親と大きな一戸建てに住み、自家用車を運転し、学校ではボクシングでうっぷんを晴らし、休みの日はヨットでで海に出る。

今は「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」や、「ミニマリスト」とか、「月10万円で豊かに暮らす」という世の中になってきていますが、当時は当時で、物がある程度行きわたり、物欲の面では満たされてしまっている。

若者の有り余ったエネルギーをどこに向けるかというのが描かれている映画だと知ると、あー、なるほどガッテンガッテン、なんです。

酒もたばこもケンカもセックスも賭博も車の運転もやりたい放題やっている若者たちなので、見始めててっきり大学生の話かと思いきや、高校生の話というのは驚き。

やっていることはアメリカの高校生レベルで、今から66年前にはこんな時代もあったんですねー。

ただ、原作にしても映画にしても表現として倫理的にどうなのかというのはかなり問われていて、模倣犯がかなり出たらしい。

映画化には、原作が芥川賞を受賞する前に目を付けていた水の江瀧子プロデューサーが尽力したそうですけどね(当初は石原裕次郎主演で撮る予定だった)。

最近の映画が言葉狩り&表現狩りを恐れて自主規制チックになってソフトな内容になっていっていますが、このR指定レベルの話を反対されてもガツーンと世に送り出していた時代っていうのはある意味勇気があったっていうことなんでしょうね。

主演の二人はモダンな雰囲気で、当時の最先端ファッションに身を包み、着物も水玉でかわいい。

観葉植物も置きまくりだし、電話の保留音が受話器を置くと鳴るオルゴールも懐かしい。

夏の終わりとともにやりたい放題の応報もやってきて、見終わったあとじわじわくる。

アメリカ映画『悲しみよこんにちは』(1958)の世界観にも似ていますね。

「愛」と「資本主義」がテーマでもあるこの作品。

現在の私たちが抱えているテーマの原型を、当時早すぎる才能のように開花させリアルに表現していた原作・石原慎太郎のすごさを再認識させられる映画です。

 
 

いつもご覧いただきありがとうございます♪

太陽族3部作のうちの1作品のこちらも見ました。

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