『下町の太陽』(1963年 日本)
画像:リンクによる
20歳頃の倍賞千恵子さんが初々しい!
山田洋次監督の初長編映画。
今朝の1日1映画は『下町の太陽』(1963年 日本)を鑑賞。
下町で助け合いながら貧しくとも工場で働きながら懸命に暮らす5人家族の長女、寺島町子(倍賞千恵子)。
家族、兄弟、恋人、友人、近所の人たちの中でポジティヴに強く生きようとする若者を題材にした、山田洋次監督の記念すべき初長編作品です。
やはり面白いなぁ、山田洋次監督作品って。
この映画は、『下町の太陽』という同映画のタイトル曲を当時倍賞千恵子さんが歌って大ヒットしたことで、それを映画化した作品。
今だと中島みゆきの曲『糸』を、瀬々敬久監督、菅田将暉&小松菜奈主演で映画化した感じなのかな。
主人公が歌うシーンのほか、登場人物が歌うシーンがたくさん出てきて、ミュージカルのような雰囲気もあります。
印象としては倍賞千恵子さんの初々しいこと!
撮影当時20歳前後なんですが、演技に芯があるというか、主人公の強い意志をもった女性としてピッタリなんですよね。
下町の風景や人々は「寅さん」のようでもあるんですが、貧しくともイキイキとしている街の人々の会話がなんとも楽しい。
商売をやっていたうちの祖母の口癖で、新しいものや高そうな物を持っていると金額を聞いてくるというのがあったんですが、この映画にも高級品の金額を予想してワイワイ話している姿が何度か出てきて、クスっと笑えるんですよね。
また、セリフや描写に五感を巧に入れ込んである。
〇〇さんは近寄るといい香りがする、など。
そういう細かーい描写がたくさん入れ込んであって、それによってリアリティが出て、スクリーンの中を想像してうっとりしてしまいます。
その他、楽しい時に泣くなどの逆の感情表現、テーマを何度も繰り返してセリフにして印象付けるなども。
画を見なくても耳で聞いているだけで面白い、脚本の力を感じます。
画作りは、工場の機械や遊園地の遊具など、動くものを人物の手前に入れて三分割法をより印象付けたり、音も工事音やラジコンの旋回音などの状況音を効果的に取り入れてあってちょっと面白い。
揺れ動く乙女心、決断する女性の変化。
太陽の日差しや影、雨がそれを象徴するように入れられていて素敵です。
山田洋次監督のすごさを堪能できる1本です。
PS:映画に外で日向ぼっこをしながらしゃべくってる人々が出てきて、昔はいましたが、今、もうほぼ皆無ですよね。。
10年前に中国に行ったときは、外を3歩あるけば意味もなく老若男女問わず何をするでもなく涼んでいたり、仲間としゃべっていたり、公園では太極拳や運動をしている高齢者がいたり、朝ごはんも外の屋台など、「外の文化」が息づいているのを実感しました。
↓映画の歌のシーン
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