カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『そよかぜ~リンゴの唄~』(1945年 日本)

Directed by Yasushi Sasaki, distributed by リンクによる

主題歌「リンゴの歌」はこの映画で大ヒット。
広島市出身・二葉あき子さんが歌う姿が拝めます。

今朝の1日1映画は『そよかぜ~リンゴの唄~』(1945年 日本)を鑑賞。

レビュー劇場の照明係・18歳のみち(並木路子)。

今日も舞台でスター歌手が歌う「リンゴの唄」という曲を聞いてうっとりしていた。

そんな歌手志望の少女が、上原謙佐野周二、斉藤達雄ら扮するバンドのメンバーたちに励まされていき…。

戦後のGHQ連合国軍総司令部)の検閲を通った第1号映画として知られ、主題歌である「リンゴの唄」は大ヒット。

脚本:岩沢庸徳、監督:佐々木康による歌謡映画の名作です。

最初から最後まで歌を口ずさみ、レッスンで歌い、ステージでの歌い、とほんとに歌尽くしの映画。

戦争であらゆるものを失った戦後の日本の人々に、元気と希望を与える映画として制作されたそう。

日本映画は、戦前は年間500本を超える映画を製作していたのが、1945年(昭和20年)にはわずか26本の製作となっていたという時代。

この映画は1945年10月公開で、撮影はたぶん8月とか9月。

終戦直後って、映画を撮ろうと思っても、映画スタッフがほぼ戦争の軍隊に取られてしまっていないわけです。

(余談:戦時中の撮影話として、日活のスタッフさんで防空壕に逃げ込みながら撮影している方がいて、翌朝に真っ黒や真っ白な死体を目にしながら撮影したというすごい話もあったりします)

この映画を製作した松竹は、戦中・戦後と途切れずに戦争に引っ張られない人で撮影していたそうで、戦時中に撮影部に残っていたのは2~3人。

この映画の音声の録音(アフレコなど)をしていた9月ごろには5人くらいスタッフがいて、その後、戦地から生き残った映画スタッフたちが帰還してくるという。

少数精鋭のスタッフによって創られた貴重な映画なんですよね。

戦後すぐとはいえ、セリフや歌声が非常に聞き取りやすく、音声さんの技術の高さを感じます。

演技やシナリオはうーん、なんだろう、80年代のアイドル映画みたいな感じが。

「~さんのバカ!」とか「私、もう大人だもん!」とか、良くも悪くもそういうちょっと幼い感じがあって、あえてそれを楽しむ感じで見た方がいいと思います。

セリフに「男性は、心臓をつかんで、胃袋でつなぐんだって」や「女の幸せは結婚してお台所を守ることよ」などが出てきて、仕事(歌手)と結婚で揺らぐ女性の生き方も描いてある。

AKBに「卒業」があるように、当時の女性スターにも結婚などの節目での入れ替わりがあって、そういう部分では今とぜんぜん変わらないなぁと思わされます。

ただ、三種の神器などの電化製品の登場する以前の時代で、どれだけ当時の家事が重労働で時間を費やすものだったのかということを思うと、結婚して家事をすることは必然的で、女性が仕事で輝く期間というのは本当にわずかだったんでしょうね。

個人的に発見なのは、スター歌手の恵美役で出演している歌手・二葉あき子さん(1915~2011年)の姿が見られること。

私の地元出身で、7年前にはその功績をたたえて生誕100年の年に歌碑が建立されたんですが、私自身二葉あき子さんの存在を知らず、どんな歌を歌っていてどんな方だったのかを全く知らないので、ピンとこなかったんですが、この映画で二葉さんが歌う姿が見られるとは!

この映画に出演されていることが二葉さんのウィキペディアに載ってないので、追記してもいいんじゃないかと思われます。

あと、年内をもって引退される加山雄三さんのお父様、上原謙さんの姿も。

終戦直後を象徴する作品ですね。

↓リンゴの唄~映画『そよかぜ~リンゴの唄~』より

 
 

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