『ジャズ娘誕生』(1957年 日本)
画像:リンクより
20歳の江利チエミが23歳の石原裕次郎と歌い踊る♪
64年ぶりにカラー化された音楽映画
今朝の1日1映画は『ジャズ娘誕生』(1957年 日本)を鑑賞。
とても唄のうまい少女・河井みどり(江利チエミ)は妹と弟を連れて大島の椿油売りをしていた。
油の売ゆきも良くなくガッカリしているところに一台のトラックが猛スピードでやってきて、みどりの弟を避け損ねて田んぼに転落する。
トラックに乗っていたのはユニバーサルバンドの一行で、鼻持ちならない歌手・南条春夫(石原裕次郎)に挑発されたみどりは、その素晴らしい唄声を披露し、大絶賛を浴びるのだが…。
喜劇を中心に多くの作品を手掛けた春原政久(すのはらまさひさ)監督による鮮やかな天然色が豪華な音楽映画です。
もともと〝総天然色〟映画としてつくられながら、その後、モノクロ版でしか見ることができなかったそうなんですが、国立映画アカデミーが最先端技術を駆使してカラー化を実現。
色鮮やかな衣装、照明、セットが目に飛び込んでくる、カラーならではの魅力が詰まった作品ですね。
江利チエミさんのことはそこまで存じ上げず、美空ひばりさん・雪村いづみさんとともに「三人娘」と呼ばれ、一世を風靡していたというのを知っている程度。
歌声を映画でちゃんと聞くのは初めてかもぐらいの感じです。
ストーリーは一応あって、生き別れのお父さんや小さな妹弟のために頑張る涙の物語ですが、そのまで感情移入して観ながら泣く感じまではなく。
「悲」より「喜」が上回るのは、江利チエミさんのひまわりのような明るい雰囲気と(映画では大島椿娘ですが)、その歌唱力に魅せられる方が大きいからでしょうね。
ローズマリー・クルーニーのカヴァーのジャズ曲「カモナマイハウス(家へおいでよ)」は特に聞きごたえが。
それまでの日本ジャズシンガーには見られない唱法で、江利チエミさんが昭和30年代の『スイングジャーナル』誌で女性ボーカル部門のトップを独占するきっかけともなったそうで、美空ひばりほど若干ドスの利いた感じともまた違う強さとしなやかさがあって洒落ています。
この映画における石原裕次郎の存在感は、薄い…。
見た目ですべてを持っていく人なので、いるだけで華やかになることは間違いないんでいいんですけどね。
江利チエミが一生懸命演じて歌う、それを楽しむ映画と割り切って楽しむ感じがちょうどいい気がします。
雨の日はこんな気持ちが晴れやかになる作品がいいですね。
↓歌謡映画というと、こちらも楽しい。
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