『銀座の恋の物語』(1962年 日本)
石原裕次郎×浅丘ルリ子
高度経済成長期の様子がギュッと詰まったドラマ
今朝の1日1映画は『銀座の恋の物語』(1962年 日本)を鑑賞。
銀座の裏町に生きる貧しくとも明るくたくましい若き画家・次郎(石原裕次郎)とその恋人・久子(浅丘ルリ子)。
二人の幸せはある日突然起きた出来事によって引き裂かれてしまう。
やがて次郎は恋人に再会するのだが…。
石原裕次郎のヒット曲の映画化で、その後の日活“ムードアクション”の先駆となった。当時の銀座の風俗描写も懐かしい、裕次郎の魅力がたっぷり詰まった蔵原惟繕監督による傑作です。
なるほどー。
歌や音楽が随所に盛り込まれ、一見歌謡映画なんですけど、この時代をギュッと凝縮したような魅力がありますね。
50年代の“太陽族映画”(『太陽の季節』『処刑の部屋』『狂った果実』)では、10代後半から20代前半の若者たちが疾走し、傷つけあい、見た後にヒリヒリとした感覚が残る、旧来の映画作法の打破を試みたフランスの“ヌーヴェルヴァーグ”の先駆けのような斬新さが。
一方、1962年に公開されたこの作品では、シュっとして細かった裕次郎の顔もやや丸くなって、冒頭の人力車のくだりから自家用車に時代が変わっていく行動経済成長の真っただ中を象徴していて、若者たちがジャズや絵画で食べていきたい…けど現実は厳しい…という大人への階段を登ろうとしている若者に成長しています。
夢をとるか、安定をとるか…。
今も昔も同じですね。
構成としてはハリウッド映画を踏襲していて分かりやすい。
プロデューサーの水の江瀧子は岩波文庫を読みまくり、どういう小説が映画にしやすいかを研究していたそう。
その中で、海外の短編作品は映画化しやすい上に、当時の日本にモダンな新風を入れ込むことができて、かなり参考にされました。
脚本の作り方も、まず水の江瀧子が軸となるアイデアを出し、それに各担当が意見を出し合ってシナリオを作り上げていくというハリウッド方式。
確かに小道具や音楽がお話のキーになっていたり、展開が韓国ドラマのように衝撃的なシーンもあったりで、飽きさせないです。
技法もいろんな種類が取り入れられていて、ハイアングルからのローアングル、ビルの屋上ではきらびやかなネオンをダイナミックな構図で入れ込むなど、常に画面に変化があったりインパクトがあったりするので、銀座の街の魅力がテンポよく伝わってくる。
あの時代に生きてたら、絶対見終わってすぐ銀座に行ってロケ地巡りをしていたと思います(笑)。
銀座の街を結構大がかりなセットを組んで再現している部分と、実際の街ロケとを組み合わせてあるんですが、街ロケの主要部分はエキストラさんのほか一般の通行人も映りこんでいて、夜、ライトを照らしながらのロケだから、みんな「裕次郎よ!」「浅丘ルリ子だ!」なんて言いながらカメラの方を見ている様子も。
今だったらスタッフさんが歩いている人の通行を止めたりしますけど、当時の“通行人から注目されている撮影現場の高揚感”もドキュメンタリー的に伝わってきていいですね。
街の様子からも当時の空気感が伝わってくる、アーカイブ的にも貴重な映画です。
↓予告編
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