カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『用心棒』(1961年 日本)

Toho Company Ltd. (東宝株式会社) - リンクによる

超絶クールなテーマ曲にシビレまくり!
“魅せない”殺陣、シニカルな視点がカッコイイ黒澤映画。

今朝の1日1映画は『用心棒』(1961年 日本)を鑑賞。

二組のやくざが対立するさびれた宿場町。

そこへ一人の浪人者がふらりと流れ着く。

桑畑三十郎と名乗る男(三船敏郎)はやがて巧みな策略で双方を戦わせ、最後には自らの刀を抜きやくざたちを倒すが…。

時代劇に西部劇の要素を取り入れた黒澤明監督の痛快娯楽活劇。

64年にはセルジオ・レオーネ監督が本作をもとにマカロニウエスタン「荒野の用心棒」を作り、大ヒットした作品です。

あのー、もう冒頭からノックアウトなんですけど!

佐藤勝によるテーマ曲とタイトル文字のカッコよさ。

ホーン系を全面に押し出した迫力ある音で主人公の圧倒的存在を知らしめるとともに、マイナーコードとメジャーコードを合わせた、明るい? 暗い? どっちやねん?というジャズのような不協和音的な要素が主人公の「浪人」というフラフラした存在をも象徴していてものすごい絶妙なんですよね。

そこに殴り書いたような雰囲気だけどおしゃれ感のあるタイトル文字が画面いっぱい
に映し出される。

私がこれまで観てきた映画の法則として「タイトルに手を抜かない映画は面白い」というのがありますが、この映画もその1例です。

お話は、街という大きな舞台で繰り広げられる群像劇のよう。

三十郎がいる宿の格子戸から周りが見渡せるようになっていて、北側ではAエピソード、西側ではBエピソードというように、三十郎と宿の親父さんがそれらを「傍観者」の視点で人間観察をしているんです。

その姿は映画を見ている私たちの姿のようでもあり、主人公の視点と私たちの視点が「入れ子」になっている面白さ。

ひいてはこのキャラとこのキャラを戦わせてみようみたいな傍観者的な立場からの策略もするんですよね。

映画がだんだん進むにつれて「コミカル」から「シリアス」に、「傍観」から「主観」に視点が移っていき、その分感情も盛り上がり、クライマックスを迎えます。

作りがものすごいジェットコースター設計で、映画の110分の中に波を作り、観客をいかに楽しませるかっていうことが練られていることに感動。

子供や犬などコントロールできない存在を上手く入れ込んだシナリオ、白黒画面でも容姿的に巨人、太っちょ、細い人、入れ墨など、一目で分かるキャラクター、つまようじをくわえる風貌、喧嘩の景気づけの火打ち石、団扇太鼓での祈りなどの細かい演出による説得力…など目を引くシーンを挙げていくとキリがない。

殺陣もいわゆるそれまでの斬られる側が待っている“バッサバッサ”というような魅せるための殺陣ではなく、もうバサバサバサバサ、と素早い立ち回りで待つ暇もなく斬られている。

逆にリアルで、三十郎の強さを強調する殺陣になっています。

砂嵐での決闘のような西部劇のようなシーンも見ごたえ抜群。

あとは意外にも「コーチング」っていうんでしょうか。

三十郎も宿場のおじいさんも、けしかけてやらせるのがうまいんですよね。

「やりたい」を引き出す褒め方を心得ている。

これは人材育成の観点からみても勉強になります。

と、いろいろ詰まったこの映画。

ちょっと残念なのは個人的になのか三十郎以外のキャストのセリフがよく聞き取れないこと。

早口というか何というかで。

でも画的に十分楽しめるのでOKです。

のちのいろんな映画に影響を与えた映画の面白さを再確認できます。

↓予告編

 
 

黒澤明監督作品はこちらも見ました↓

katori-nu100.hatenablog.com

 

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