カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『ミークス・カットオフ』(2010年 アメリカ)

By http://www.impawards.com/2011/meeks_cutoff.html, Fair use, Link

史実をベースに、当時の女性たちの視点から描かれた西部劇。

今朝の1日1映画は『ミークス・カットオフ』(2010年 アメリカ)を鑑賞。

1845年、西部開拓時代のオレゴン州

移住の旅に出た3家族は、道を熟知しているという男ミークにガイドを依頼する。

2週間で目的地に到着するはずが、5週間が経過、道程は過酷さを増しなかなかたどり着かない。

ミークの道案内に疑いを持つ家族。

そんな中、一行の前にひとりの先住民が姿を現した…。

監督は女性監督のケリー・ライカートで、ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に選出された作品です。

だだっ広い延々と続く茶色の大地で、水を求めて三千里、野蛮だといわれる先住民に今にも命を奪われてもおかしくない状況。

そんな過酷な状況の中、野宿をしながら、ただひたすらに信じるままゴールを求めてカラッカラの大地をヘトヘトになりながら黙々と歩きます。

道に迷い、次第に何を信じていいかもわからなくなってくる。

命の危機や不安に面した時、人は誰を信じて、どう判断することが最善策であるのかという、「究極の選択」についてが描かれています。

印象的だったのは「女の本質は混沌だ。創造と無秩序の混沌が、生命をもたらす。男の本質は破壊だ。男は不正を排除し、破壊を命じる」というセリフ。

人種や価値観が違う者同士が共に命の危機に面した時、「破壊」するのか、それとも「生命」を取るのか。

アメリカの白人系家族と先住民という、ある意味アメリカ社会の縮図とも言える人々が、どういう選択をして危機を乗り越えるのかを、女性監督らしく「生命」的視点を入れ込んで描いてあります。

改めて、女性の本質や社会への役割などを考えさせられますね。

この映画の特徴は、画面の大きさがアスペクト比「4:3」で撮影されていること。

現在のスクリーンはシネマスコープの2.35:1が主流ですが、過去の西部劇の多くは4:3で撮られていて、それを踏襲しているというのはありますが、それには訳が。

「4:3の方が、ボンネット(つばのある頬かむりのような帽子)を被った女性の狭い視界に近いように思いました。左右の端を切り落とすと、そこに何か知らないもの、見えないものがあるのではないかと疑い始めます。ある種の緊張感が生まれます」と監督。

カラッカラのだだっ広い大地は、逆に言えば、自由の利かない何もない空間に押し込められているということ。

真四角に近い「4:3」で撮ることによって、画面に映ってない所にいるかもしれない敵を想像させるような効果があります。

狭い画角を逆手に取った方法で、なるほどーと思いました。

何を信じて進んで行くか。

情報化社会の今でも、普遍的に問われているテーマかもしれないですね。

PS:タイトルバックのデザインに簡単な「刺繍』が使われていて印象的でした。

ポン・ジュノが「映画史に名を刻むべき最も美しいオープニングシーンのひとつ」と評したケリー・ライカート監督長編三作目となる『ウェンディ&ルーシー』(2008)もまたの機会に見てみたいと思います。

↓予告編

 
 

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