「風と共に去りぬ」(1939年 アメリカ)
By Armando Seguso (per Link
映画史上に残る超大作からの学びは、
手前勝手な女性のたくましさ
今朝の1日1映画は「風と共に去りぬ」(1939年 アメリカ)を鑑賞。
マーガレット・ミッチェルの同名ベストセラーをビビアン・リーとクラーク・ゲーブルの共演で映画化し、1940年・第12回アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演女優賞など10部門に輝いた不朽の名作。
南北戦争前後のアメリカ南部を舞台に、炎のように激しく美しい女性スカーレット・オハラの激動の半生を壮大なスケールで描きます。
昔、サロンシネマで見て以来の鑑賞で、内容をすっかり忘れているんですが、計231分=3時間51分の大作を観ました。
いろんな要素がてんこ盛りで面白く、とても戦前の作品とは思えない。
でも、え、こういう映画だったっけ? 思っていたのと違う…っていう驚きも。
戦争を何とか切り抜ける素晴らしい人がヒロインかと思ってたんですけど、真逆ですね。
めちゃくちゃ気が強い、思ったことは曲げない、自己中心的、使用人に厳しい、お金のためなら好きでもない人と結婚、子供はかわいがらない、ウソ泣きや平手打ちは朝飯前…みたいなサイコパスな主人公スカーレット。
でもその美貌や計算高さに男性は寄ってくるんですよね。。
(こういう人、いたなぁ…。)
主人公としてはどうなの? とは思うんですが、心底悪いヤツってわけでもないなと思えるとこともありまして。
商才はあるんですよ。男性顔負けに商売を切り盛りして、儲けるという。
あとは執着心がすごくて、「故郷タラの土地を守る」「好きな男に振り向いてもらう」ためにならなんでもできる。
すごくパワフルです。
また、楽天家。
ヒステリックで、怒ると何も考えられなくなるんですが、「ま、明日考えればいいわ」と寝てしまうところが、明日に悩みを持ち越さない、人生の荒波の潜り抜け方を知っているんですよね。
いい人ほど早く亡くなり、悪い奴ほどしぶとく生きるって言いますが、あ、そういうことなのね、と。
また、人生哲学のようなセリフも多い。
「時を浪費するなかれ。人生は時にて成ればなり」
「信じられるのは自分だ。国家でも主義でもない」
「無駄なことに腹が立つ。それが戦争さ」
「神よ。私は打ち負かされなどしません。この試練が終わるまで生き抜きます。私も、私の家族も、二度と飢えたりなどしません。必要なら、嘘もつき、盗み、騙し、人殺しだってします。神よ。私は二度と飢えたりなどしません」
名作と言われていますが、よかったねーで終わる映画ではなく、人間の本質をまざまざと見せつけられる、見終わったあとに我が身を振り返る映画のような気がします。
映画の技術面でいいなと思ったのは、「シルエット」(影)を用いたシーン。
圧巻の真っ赤な夕日に照らされる主人公たちのシルエットや、ローソクの影からのパンで、役者が何をしているのかを分からせたり、顔に影がゆらゆらすることにより、状況説明をしたりなど。
また、圧巻のシーンは「クレーンショット」。
道路や線路に南北戦争の負傷者がたくさん寝ているんですが、カメラがどんどん引いていくとその負傷者がはるか遠くまでいてたくさんいて、負傷者で画面が埋め尽くされます。
南北戦争がいかに荒ましかったかが分かるシーンとしての表現で、エキストラ数も半端ないですが、そのシーンがあることにより、この映画にリアリティを与えている気がします。
一人の女性の、またその周りの人々との関係を通して、また一つ人生を学ばせていただきました。
↓予告編