『プライベート・ライアン』(1998年 アメリカ)
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戦争のむごさのリアル
今朝の1日1映画は『プライベート・ライアン』(1998年 アメリカ)を鑑賞。
1944年6月。
激烈を極めたノルマンディ上陸作戦で、3人の兄を亡くしたライアン2等兵。
彼を無事に故郷に送り届けるため、8人の特命隊が組まれた。
軍上層部のこの命令に疑問をもちながらも、8人は過酷な戦況をくぐり抜けてライアンを探すが…。
監督はスティーヴン・スピルバーグ、主演はトム・ハンクス。
救出されるライアン役をマット・デイモンが演じ、アカデミー賞5部門を始めとする各賞を独占した戦争映画です。
昔見て、今日2度目だったんですが、やはり名作ですね。
最大1,000人のエキストラが参加し(その一部はアイルランド陸軍保護区のメンバー)、ノルマンディ上陸作戦の様子が前半20分間、揺れ動く主観点(POV)カメラとともに描かれ、まるで自分が戦争の現場を目の当たりにしているような緊張感があります。
海辺での戦線の描き方がものすごく細かいところまで再現してあって、海の中に銃弾が水中にシューっと入っていって、海中で弾が身体に当たり、血の海となるシーンは、ジョーズの1シーンのよう(ジョーズもスピルバーグ監督だけに)。
銃弾で足や手が吹っ飛ぶ人、内臓が飛び出している人が「ママ、ママ」と呼ぶ声、爆音に耳が遠くなって、見ている景色がまるで地獄絵図のように目の前に広がる主人公。
ここまで細かく戦場の悲惨さを描いている映画はないですよね。
でも、今、世界で起きている戦争の最前線では、この映画と同じことが毎日起こっている。
TVやネットのニュースでは知りえない戦場のリアルをこの映画で知ることができ、暴力的な映画ではありますが、戦争を伝えるための必要な作品だなと思います。
映画としては、激しい戦争の場面に対して、各個人の幸せだった頃のエピソードがふんだんに盛り込まれ、作品として観客を楽しませるフィクションとしての緩急の付け方が非常に優れている。
エンターテインメント映画の構成の基本は押さえられていて、見終わってから「あれはどういう意味だったんだろう?」のようなもやもやすることはなく、気持ちの納まりがいいんですよね。
爆音の後、静かになる(爆音によってしばらく耳が遠くなる)シーン、エディット・ピアフの歌詞や、手の震えの演出など、細やかなすべてに意味を持たせてあって。
キャラクター設定も分かりやすくて、観客の分身のようなおびえた兵士の役どころに感情移入してしまいます。
戦争は軍という組織が個人の幸せを奪い、葛藤や無慈悲さ、時には仲間割れが起こるなど、狂った世界が展開する。
この映画を見ることで、戦争の最前線を想像することの大切さを身に染みています。
↓予告編