カトリーヌの「朝1日1映画」

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『1941 モスクワ攻防戦80年目の真実』(2020年 ロシア)

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ロシアを映画から読み解く。

今日の1日1映画は『1941 モスクワ攻防戦80年目の真実』(2020年 ロシア)を鑑賞。

1941年10月。

ロシアに侵攻したドイツの大軍は、モスクワを目指し進撃を続けていた。

首都が陥落すれば、ソ連の敗北とナチスの勝利が決定的になる。

モスクワを死守するため、兵力不足のソ連軍は訓練中の学生兵を戦場に送ることを決断。

ポドリスク兵学校士官候補生のラヴロフやディミトリ、看護師のマーシャたち3,500名が、イリンスコエ防衛ラインに向かう。

任務は、増援部隊が到着するまで敵を食い止めること。

だがそこは、戦場を初めて踏む若者たちにはあまりに苛酷な、地獄の最前線だった……。

歴史的な『モスクワ攻防戦』に参加した若き士官候補生たちの、知られざる史実にスポットライトを当ててゆく大作です。

いつもは映画技法の本に掲載されている映画を中心に見ているんですが、現在のウクライナ戦争を読み解くヒントになるのではと、今日はロシアの過去の戦争を描いた作品を見てみました。

今現在行われているウクライナ戦争でロシアによる最悪のシナリオが実行されている背景には、過去の大戦(ロシアでは第二次世界大戦とは言わず、大祖国戦争と言うそうです)にトラウマがあるからだそうで。

あの大戦で日本人は300万人(広島・長崎の原爆も含む)が亡くなっているのに対し、ソ連では2,700万人が亡くなっていて、世界最大の戦死者を生んでしまったそう。

大国であり、過去にもいろんな国から攻められてきた歴史があるだけに、いつ何時敵が来るか不安で「平和を守ること=戦争の準備を常にしておくこと」というのが当たり前の日常がある感じがします。

この映画では3,500人の若者が戦争に翻弄される姿がリアルに映し出されている。

激戦の地イリンスコエ前線のあった地に、村、道路、橋、人工の川といったレプリカが、当時の航空写真に基づいて正確に復元されたというから、ものすごい予算をかけて作っているんですよね。

しかもCG?って感じのシーンは少なくて、本物の爆弾が爆発しているような(昔の仮面ライダー的な)危なっかしさ。

戦争が愛する人や親子を無残にも引き離していくエピソードも盛り込まれ、人間ドラマとしても見ごたえがあります。

国からの結構な支援によって制作されているんですが、内容は決して戦争を推奨するものではなく、反戦もの。

戦争によって若者の命が奪われることを問う、ナースの言葉が非常に胸に刺さります。
ロシアの若者たちも犠牲者だということをキチンと描写。

じゃあ、なぜ、今こんなことに…と言わざるを得ない心境になります。

たぶん、「生き残って国を守る」のではなく「戦い抜くこと」に重きを置いているからかもしれません。

主役は珍しく、大砲を撃つ砲兵。

美しい女性のナースも同行し、彼女たちも最前線で活躍します。

映画の技法としては、常に動いているような流れるカメラワークに、スローモーションを多用。

銃撃戦の一瞬のシーンが非常にドラマチックに演出されています。

色はグリーンが貴重で、画面は戦争映画ではありますが、淡いコントラストで美しい。

どの国の戦争映画もいつも辛い気分になりますが、この映画も何とも言えない気持ちになりますね。

↓予告編

 
 

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