『つぐない』(2007年 イギリス・フランス・アメリカ)
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多感な少女の証言が運命を引き裂く…。
美しくて壮大なドラマ。
今朝の1日1映画は『つぐない』(2007年 イギリス・フランス・アメリカ)を鑑賞。
1935年イギリス。
ある夏の日、タリス家の末娘ブライオニーは、姉セシーリアと使用人の息子ロビー・ターナーの些細ないさかいを目撃し……。
ひとりの無垢な少女の嘘によって人生を狂わされてしまった一組のカップルの運命を『プライドと偏見』『アンナ・カレーニナ』のジョー・ライト監督が描く、ゴールデングローブ賞作品賞、アカデミー賞作曲賞など数々の賞を受賞した作品です。
前半はきらびやかなお屋敷が舞台で、上流社会ならではの陰湿なお話が展開するのかと思ってたら、結構壮大なお話。
多感な少女が見てしまった大人の世界。
彼女にとっては非常に刺激的で恐怖に感じることではあります。
愛する2人が少女に運命を狂わせられるんですが、時代設定が第2次世界大戦前夜。
恋愛という私的背景に加え、戦争という時代背景にも翻弄されていくんですよね。
そこからが壮大な運命が始まるという。
そして戦地で主要登場人物3人が何をして生きているのか、社会的背景が描かれます。
それによって「私的背景」「時代背景」「社会背景」の3つが揃う。
名作たる映画の要素が詰まっています。
英国のイアン・マキューアンによる傑作小説「贖罪」の映画化なので、読んでいる人にとってはどんな映画になるんだろうと思って観てたのかもしれないんですが、個人的にはその画の美しさが素晴らしいなと。
シンメトリーな構図(双子とかも含めて)、補色(パトカーの赤いランプと緑のドレスなど)が多用されていて、非常に印象に残る画作りです。
上下や左右のパンも、ただの状況説明ではなく、カメラの移動先に話の展開があったり、理由などが隠れているようなカット。
前のシーンから話が少しジャンプしたようなシーンもあるのですが、しばらくしてその前に何があったのかを描くという、ちょっと謎解き的なシーン構成も。
ダンケルクの港で、負傷したり国に帰ろうとしたりする無数の兵士たちが砂浜にいる中、主人公の1人ロビーが兵士たちの中をずーっと歩きます。
精神的におかしくなりそうな中、馬を殺したり、歌で気を紛らわしたりして何とか気を保とうとする兵士たち。
戦争の惨たらしさを象徴するシーンです。
音楽は感情を盛り上げ、寄り添うように装飾的で、エンターテインメント系の分かりやすさがあります。
タイトルの『つぐない』、ラストに分かる感じになっていて、納得。
重さと軽さのバランスのある、意外に見やすい映画です。
↓予告編