『真夏の夜の夢』(1935年 アメリカ)
Warner Bros. - リンクによる
特撮、ワイヤーアクション、キラキラ電飾…etc
振り切った子役の演技にくぎ付けの、目にも耳にも贅沢な一作。
今朝の1日1映画は『真夏の夜の夢』(1935年 アメリカ)を鑑賞。
結婚を反対され森の中へ駆け落ちした恋人同士と、その2人の後を追いかける男女。
森の妖精の王が彼らの恋を叶えてやろうと、惚れ薬を手下の妖精に託して遣わせる。
しかしその妖精が薬の使い方を間違えたため、人間と妖精が入り乱れた恋の空騒ぎが巻き起こり…。
ウィリアム・シェイクスピア作の喜劇を、ドイツ劇団第一の演出家 マックス・ラインハルトが製作、ウィリアム・ディターレが監督した壮大なバレエ&ファンタジー映画です。
はぁ、うっとり。
白黒映画なのに、森の新緑や雲間から差し込む白い光、鮮やかな夕日の色が見えるくらいカラーに脳内変換できるんですよね。
画面も鮮明で、音もクリア。
衣装もキラキラで、電飾やオーガンジー、長いフリンジがゆるやかに風になびいてキレイで。
女王の衣装は伝統的ではありますが、首元にくるっと巻き付いたヘビがあしらわれていて、ある意味斬新。
全編に響き渡るメンデルスゾーンなどの耳なじみのあるオーケストラ音楽に酔いしれます。
撮影はオールセットでスタジオの中に宮殿や森を作り、風や火、砂埃までも再現してある贅沢さ。
シェイクスピア作品ということで、難しいかな…外国人の名前、覚えられるかな…とちょっと不安だったんですが、そんな心配しなくてもいいくらい分っかりやすい。
子供でも分かるストーリーです。
その分、バレエのような群舞が見ごたえがあるし、特撮もあって、変身はもちろん、空を飛ぶワイヤーアクションも!
1935年制作で、当時日本は昭和10年ですよ。
満州国皇帝溥儀が初来日し、地元の広陵中が甲子園で準優勝した年(ローカル情報)。
映画界では若手の伊丹万作監督(伊丹十三の父)の時代劇や成瀬巳喜男監督の家族映画がヒットしていた頃。
そんな時代にアメリカではこんなに美しくて大がかりな映画が作られていたんですねぇ。
キャストは木の上から男女にいたずらをする妖精・パック役の子役、ミッキー・ルーニーの演技の上手さに目が離せない。
感情の込め方、振り切れ方が半端ないんです。
例えると、『エクソシスト』で悪魔が憑依して別人のように狂暴になる少女リーガン(リンダ・ブレア)くらいの振り切れ方。
もうそこに子供らしさなんてないですから。
でも彼、撮影前にそり滑りをしていて骨折して、それを隠しながらの撮影ということで、木の上からの見下ろすシーンが多く、そこまで動かないんですが、上半身であふれんばかりの演技をしています。
大人役の俳優さんも有名な人が出ているみたいなんですけど、彼らがかすむくらい。
(調べてみたらミッキー・ルーニーさんって、2014年に93歳でお亡くなりになっているんですが、身長157cmで性格俳優として活躍し、『ティファニーで朝食を』など名わき役として出演、生涯で8回も結婚していらっしゃっているんですね)
ただ、この映画そこまでヒットしなかったらしくて。
制作のラインハルトや音楽のメンデルスゾーンなどががユダヤ系だったため、当時のナチス・ドイツでの上映が禁止されたこともあるのかな。
アカデミー賞で撮影監督のハル・モールが最優秀撮影賞に、編集技師のラルフ・ドーソンが最優秀映画編集賞に輝いていて、映画自体は高く評価されているんですけどね。
出演者が私たちに話しかけてくる「第4の壁」を破るシーンもあり、これは夢の世界ですよーと分からせながらも夢を見させてくれる素敵な映画。
哲学や俯瞰から人生を見るセリフもちりばめられてある。
やはり人を魅了することに長けている魔術師・シェイクスピアの作品は裏切りませんね。
↓予告編
↓シェイクスピア原作作品はこちらも見ました。
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