『決戦攻撃命令』(1952年 アメリカ)
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原爆を落とした兵士とその妻の、葛藤と苦悩。
8/6に“アメリカ側の視点”を知る。
今朝の1日1映画は今日が広島原爆の日ということで『決戦攻撃命令』(1952年 アメリカ)を鑑賞。
北アフリカの戦線から帰還したティベッツ大佐(ロバート・テイラー)は、日本との戦争を早く終わらせるという理由で原爆を落とすB-29の機長に任命された。
妻のルーシー(エレノア・パーカー)は小さな子供を育てながら、危険な任務に就きなかなか会えない夫の身の上を心配する日々だが…。
アカデミー賞原案賞、劇・喜劇映画音楽賞でノミネート。
脚本は実際に空軍予備軍の大佐を務めた脚本家が手掛け、核兵器戦隊の指揮官などが技術顧問を担当。
実際の映像をモンタージュ編集して入れ込み、投下のための訓練や、広島を選ぶまでの過程を事実に基づき克明に描かれたノーマン・パナマ監督によるアメリカ映画です。
ヒロシマに関する映画というと、『ひろしま』『この世界の片隅に』など、被爆した広島の市民目線の映画は見たことがあるのですが、アメリカががどういう視点を持っているのかが描かれた作品を見たことがなかったので見てみました。
なるほど…。
原爆を落とした兵士も、落とされた広島の人も、みんな戦争の被害者だという視点が持てる作品となっています。
彼も落としたくて落としているわけではない。
戦況を伺う大統領により投下決定が下され、軍組織に任務が下りてきて、一人の兵士に命令される。
彼にも家族があり、極秘任務を誰にも言えず、1発の爆弾で多くの犠牲者が出ることに対して葛藤し、一人で悶々と悩み続ける。
それはものすごい重圧だったんだろうと思います。
原爆を落とさなかったら戦争はまだ続いていたのだろうかとか、アジアの人々が日本兵に殺りくされ続けていたのだろうかとか、日本人側の視点ではタブーとされている部分がアメリカ人の視点で描いてあり、確かにそういう側面もあったのかもしれないと思わされる。
私の曾祖母は原爆で亡くなっているので、上空のB-29から見た広島が映ったときには、あ、この下でひいばあちゃんが普通の暮らしをしていたんだなぁと非常に複雑な気持ちになりますけどね…。
映画作品としての構成は、秀逸。
第二次世界大戦という「時代背景」、主人公が軍内部でどういう立場にいてどういう行いをしているのかという「社会的背景」、妻や子供との関係を描いた「私的関係」がバランスよく盛り込まれていて、軍組織内の出来事については男性に対して、夫婦間の恋愛映画としては女性に対して見ごたえがある作りになっています。
エノラ・ゲイという名前の由来や、爆撃地がなぜ広島になったのかもストーリー仕立てだとスーッと入ってきて分かりやすい。
爆弾の装填や爆撃後の衝撃などのシーンは実際にはなく、映画として演出したシーンも少し含まれているようですどね。
映画が作られた時代は1952年という冷戦と朝鮮戦争の真っただ中。
反戦と反核のメッセージが込められているのは、当時の観客が映画に求めているものであり、時代を象徴しているのかもしれないですね。
核兵器のない世界が訪れますように。。。
↓予告編
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