カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『麻希のいる世界』(2022年 日本)

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画像:リンクより

劇中歌提供:向井秀徳、監督・脚本:塩田明彦
アウトサイダーな女の子の魂の叫び

今日の1日1映画は『麻希のいる世界』(2022年 日本)を鑑賞。

重い持病を抱えただ“生きていること”だけを求められて生きてきた高校2年生の由希(新谷ゆづみ)。

ある日、海岸で麻希(日髙麻鈴)という同年代の少女と運命的に出会う。

男がらみの悪い噂に包まれた麻希は周囲に嫌われていたが、世間のすべてを敵に回しても構わないというその勝気なふるまいは由希にとっての生きるよすがとなり、ふたりはいつしか行動を共にする。

ふと口ずさんだ麻希の美しい歌声に、由希はその声で世界を見返すべくバンドの結成を試みる。

一方で由希を秘かに慕う軽音部の祐介(窪塚愛流)は、由希を麻希から引き離そうとやっきになり…。

『害虫』『カナリア』『抱きしめたい 真実の物語』の監督・塩田明彦が、元「さくら学院」の新谷ゆづみと日高麻鈴をダブル主演に迎え、監督のオリジナル脚本で制作した青春ドラマです。

他の地域では1月から公開されていて、地元では3月ごろに公開予定だったこの作品。

多分コロナの影響だと思うんですが、延期に次ぐ延期で、やっと公開となって見ることができました。

塩田監督の『害虫』『カナリア』『どろろ』は見たことがあるのですが、最近監督の本を読んでいたので最新作を見てみようと思ったのがきっかけ。

客席は9割男性で、主演2人のファンや、劇中歌を作った向井秀徳さんのファンの方が多いのかな。

前知識なく見たんですが、うーん、一言で言えない映画ですね。

登場人物みんな不器用だけど、映画全体に流れているエネルギーは、強い。

分かりやすいのか分かりにくいのか、って言われれば、分かりやすくもあり、分かりにくくもありという…。

見えている物は、はっきりしている。

聞こえてくる歌は、彼女の心の声のよう。

話している内容は、思っていることをストレートに強く「私は〇〇だ」と語る。

一見非常に分かりやすいのですが、この映画はそういう表面上の分かりやすさとは違った、もっと次元が違うところのことが描かれているような感じがするんですよね。

大人からの愛され方にねじれが生じた子供は、何に救いを求めるのかとか。

人間、ショックが強すぎると、身体に症状がでるよなとか。

理想を求めて、現実にへこんで、それでも自分なりの希望を見出し、それを強く信じることによって救われるような気がするかもとか。

話の展開はちょっと読めてしまった感はありましたが、傷つきながら&傷つけながら、大人や世の中に絶望してしまった少女たちが何とか生きていこうとする姿が印象的な場面とともに綴られています。

女の子特有の繊細な心理や行動が描かれていて、共感できる部分も。

彼女たちが、置かれている状況から感じ取っているアンテナは非常に感度が高くて、その感度に自分をチューニングしながら見るといいかもしれないです。

画としてはやはり海辺のシーン。

夕日にススキが逆光でキラキラして風に揺れ、2人が太陽に手をかざす場面は神々しいです。

キャストとしては麻希(日髙麻鈴)がファム・ファタールのような存在で、意味ありげな笑みを浮かべていて、その表情一つで映画の空気感を作り上げている感が。

まるでモナ・リザの微笑みのように印象的。

そんな静かな笑みから、次の瞬間にはガーンとフルボリュームでギターを弾きながらかっこいい歌声が響き渡る。

アウトサイダーとして生きる少女の魂の叫びが表現されていて、「顔(表情)」と「音(音楽)」にこだわる塩田監督ならではの世界観だなあと思いました。

なかなか内容を表現しにくいですが、こういう映画は刺激になりますね。 

PS:伝説のアーティスト、山田かまちさんを思い出しました。

↓予告編

 

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