『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年 日本)
あらゆる要素が集約された最高の“高低差”映画。
今朝の1日1映画は『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年 日本)を鑑賞。
盗み出した大金がゴート札と呼ばれる偽札であることに気づいたルパンと次元は、ゴート札の秘密を探るため、カリオストロ公国へやって来た。そして謎の男たちに追われていた少女クラリスを助けるのだが……。
「ルパン三世」劇場用映画のシリーズ第2弾で、宮崎駿監督の劇場初監督作品として知られる名作アニメです。
小さい頃、大きくなったら不二子になれると思っていたくらい、ルパン三世になじみながら育った私。
この作品も何度も見ていますが、改めて映画の要素ってどうなってるのかを観察しながら鑑賞しました。
もうオープニングからお話が急激に始まって、TVシリーズ見てキャラクターがある程度分かったファン向けに作られていて、人物紹介が省かれていることが分かります。
そして、ありえない距離をジャンプしながら逃げるシーンのシンセサイザーのギューーンという効果音。
ジャジーで大人な雰囲気の大野雄二手掛ける音楽にはうっとりするんですが、効果音も素晴らしく、キャラクターの登場シーンでは大衆演劇やよしもと新喜劇の登場ジングルみたいなのが流れて、お芝居チックな盛り上げ方もあるんですよね。
五右ヱ門の三味線しかり。
ルパンのキャラクターも、テレビよりいい人になっている。
泥棒というと社会的悪人ではありますが、根はいい人という演出をすることにより、映画という約2時間の旅を主人公に共感してもらって、主人公と同じ旅を味わえるように設計してります。
不二子には性的要素をなくし、ストーリーをクラリスの救出に集中させるため、ルパンを補佐するかっこいい引き締め役に。
銭形とも時に一緒に逃げ助け合うという、映画ならではのキャラクターになっています。
構成はハリウッドのヒット映画と全く一緒。
内容は偽金作りを暴くミステリー、姫を救うスーパーヒーロー、探検要素のある城内、あらゆるガジェットを使うスパイもの…あらゆる要素がてんこ盛りで、それらをうまーくつなげてあり、面白くないわけがないですよね。
個人的な注目は「高低差」。
高さがあるシーンというのは、物理的に「落ちたら死ぬ」という恐怖感、緊張感があり、私なんかは見ているだけで足がすくむんですが、映画が進むにつれて、どんどん高いところに上っていき、高所でのスリリングなアクションが展開します。
ヒッチコックの『北北西に進路を取れ』もどんどん高所に上っていきますが、その上への移動から飛行機の出方といい、車の使い方、ガンアクションまで、なんか非常に似た感じを覚えます。
そういう「この先、どうなるの?」と、映画を見進めるための推進力のアイデアが詰まった、非常に練られたシナリオだということが分かりますよね。
アニメとしてのことはよく分からないんですが、スピルバーグ監督などあらゆる名監督に影響を与えたわけが分かります。
これからもずっと語り継がれる映画なんでしょうね。
PS:今回見て「狂言回し」はルパン自身ということも分かりました。映画が今どういう展開になっているのか、ルパンが分かりやすく解説してくれます。
↓予告編