カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『アリスのままで』(2014年 アメリカ)

By Sony Classics - Fair use, Link

アカデミー賞主演女優賞を受賞。
若年性アルツハイマー病と闘う愛と家族の映画。

今朝の1日1映画は『アリスのままで』(2014年 アメリカ)を鑑賞。

50歳の人生の充実期を迎えたアリスは、大学の教授として、学生たちから絶大な人気を集めていた。

夫のジョンは愛情にあふれ、幸せな結婚をした長女、医学院生の長男のトム。

唯一の心配は、ロサンゼルスで女優を目指す次女のリディアだけだ。

ところが、物忘れが頻繁に起こるようになって診察を受けた結果、若年性アルツハイマー病だと宣告される。

その日からアリスの避けられない運命との闘いが始まる―。

若年性アルツハイマーの女性アリスが記憶を失っていく日々をつづった全米ベストセラー小説「静かなるアリス」を映画化。

主演のジュリアン・ムーアアカデミー賞主演女優賞を受賞した愛にあふれた作品です。

病院、大学などのシーンはありますが、割と1家族の中で話が展開し、かなり“私映画”的な作り方になっている印象。

忘れるとどういうことが起こるのかが小さなエピソードで描いてあり、若年性アルツハイマーがどんな病気なのかが伝わってくるものがあります。

「記録すること」の大切さも描いてある。

すこしサスペンス風な部分もありますが、全体的にそこまでディープな展開ではなく、緩やかな優しい空気が漂っています。

夫もものすごく献身的で、家族との衝突も少しはあるんだけど感情の振れ幅はそこまでない。

作りとしては美しいです。

家は海辺のログハウス風で、インテリアもおしゃれな家具に囲まれていて、うらやましい感じ。

アリスの衣装はグリーン系でまとめてあり、コントラストも落ち着いています。

技法としては、4か月にわたる実際の若年性アルツハイマー認知症を取材しながら理解を深めていったジュリアン・ムーアのメソッド演技、アッと言わせる意外なカットつなぎ、手持ちカメラや回りカメラによる心の動きの表現、主人公が周りの情報が分からなくなった瞬間に被写界深度を浅くして取り残され感を強調など、結構勉強になります。

監督のリチャード・グラツァーは企画段階で筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症していて、身体の自由が利かない中でサポートを受けながら撮影していたそう。

監督は翌年に亡くなっていて、それを思うと非常に感慨深い作品です。

若年性アルツハイマーといえば、『私の頭の中の消しゴム』(2004年 韓国)を思い浮かべるんですが(原作の日本のドラマ版もありましたが)、あの方が格差のある社会的背景や、記憶がなくなっていくことによる疎外感や周囲の人の葛藤などが盛り込まれていて、感情に波を起こし感動を呼ぶ内容になっている気はします。

老人性認知症だとドキュメンタリー映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」の記憶が新しいですが、こちらは本当にいいことから大変なこともすべて見せてあり、別の意味で考えさせられますね。

この作品も、もし自分が同じ病気になったら…というのを感じずにはいられない。

遺伝性とは言われますが、生活習慣も関係あるそうなので、ならないように日ごろからストレスをためないなど、心がけていきたいものですね。

↓予告編

 
 

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