『世界にひとつのプレイブック』(2012年 アメリカ)
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繊細で荒れてる主人公たちが、ラストには大好きになります。
今朝の1日1映画は『世界にひとつのプレイブック』(2012年 アメリカ)を鑑賞。
妻の浮気が原因で心のバランスを崩したパットは、仕事も家も失い、両親とともに実家暮らし。
いつか妻とよりを戻そうと奮闘していたある日、事故で夫を亡くして心に傷を抱えた女性ティファニーに出会う。
愛らしい容姿とは裏腹に、過激な発言と突飛な行動を繰り返すティファニーに振り回されるパットだったが……。
ティファニー役のジェニファー・ローレンスがアカデミー賞主演女優賞を受賞した、人生のどん底にいた男女が立ち直ろうとするドラマです。
見始めた冒頭から、心の病になっている主人公の怒りや焦燥感などがあふれ、彼の感情の針が振り切れるほどグワングワンしていて、落ち着かない感じ…。
それがあれよあれよと展開していき、ラストには見ている私が号泣するという、なんでしょう、このジェットコースター映画は!
妻の浮気が頭にこびりつき、過去にとらわれている主人公。
出会った女性も夫の死を乗り越えようと必死なんだけど、わずかに彼より先に難所を乗り越えている。
「いい加減、過去を乗り越えたら?」「あんたは人生を楽しむのが怖いのよ!」と彼女が彼に吐く本音の言葉の数々や、彼女が彼に転機となるようなアクションを仕掛ける姿ががめちゃくちゃ私には響きまして。
なんかね、主人公の荒くれぶりなどぜんぜん様相は違うんですが、先日見た小津安二郎監督「晩春」に似ているんです。
見た目は問題ありそうな、回りにいる変わり者の登場人物たちですが、内面は非常にハートフルで、主人公にアクションを仕掛け成長させていくところが。
ノミ行為で一か八かで生きている父親役のロバート・デ・ニーロが、泣きながら主人公である息子に本音を話すシーンも、キャラは全然違いますが父親役の笠智衆が娘役の原節子に話す雰囲気を思い出させます。
技法としては、カメラワーク&音楽=主人公の心の動きで、前半は特に手持ち&手ブレ、カットのつなぎも早くパッパッ変わる。
予想をいい意味で裏切るような感情の変化やアクションつなぎなど、見る者をいかにハッと驚かせるかということをめちゃくちゃ考えられている。
描き方は奇想天外ですが、その分次は「どうなるんだろう?」と思わせる推進力があります。
だけどベースは非常にオーソドックス。
この映画全体の見た目とベースのギャップがね、主人公&相手役の見た目と内心のギャップとの二重構造にもなっていて、非常に巧です。
で、最後に見ていて泣けるほどの感動も持ち合わせているって、かなり秀逸なシナリオな気がします。
ジェニファー・ローレンスって、X-MENに出ている方だーと思ったんですが、雰囲気があっていろんな役ができる方なんですね。
私の中にも彼らのような心の動きがあるのかもしれないと思ったこの映画。
もうちょっとこの映画の感情のつなぎ方について勉強してみたいです。
↓予告編