カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』(1976年 アメリカ)

By Photograph by Sam Shaw. Distributed by Faces Distribution Corp. - Scan via Link

「本当に幸せな人間というのは、気楽だった人間だ」(映画より)
ストリップクラブに夢を懸けた男が背中で語る美学

今朝の1日1映画は『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』(1976年 アメリカ)を鑑賞。

場末のストリップクラブを経営するコズモ(ベン・ギャザラ)は、店の借金を完済した矢先にポーカー賭博でボロ負けし、マフィアに莫大な借金をつくってしまう。

返済の見込みがないコズモに、マフィアは借金帳消しの条件としてある仕事を持ちかける。

それは、敵対組織のボスであるチャイニーズ・ブッキーを殺すことだった…。

ジョン・カサヴェテス監督による異色のフィルムノワールです。

昨日見たカサヴェテス監督作品『こわれゆく女』とは打って変わって、あちらが感情をぶちまける演技としたら、こちらは感情を出さない演技と対照的。

主人公は自分の感情を出すことはあまりない分、彼が大切にしている周りの人々や店の様子を映すことによって、主人公の人となりを浮かび上がらせています。

1人の男がショーパブを一生懸命切り盛りする「誠実さ」や「美学」が細かい描写で詰め込まれていて、ショーガールたち一人一人を心配して気を使い、お客さんにひと時の夢の世界へいざなう案内人として日々努力する姿が愛おしい。

技法としては昨日見た『こわれゆく女』と同じく、アップショットによって表情の微妙な変化をつづられています。

特にアクションシーンはアップすぎてピンボケになり、殴る音や銃撃音は聞こえるけど何が起こっているのかわからない。

でも逆にそれがリアルで、衝撃的に映ります。

基本のストーリーは単純なんですが、丁寧な描写で人生を浮かび上がらせる。

特に後半には、彼の生い立ちをさりげない会話の中に見ることができて、非常に重みが増します。

ストリッパー役のキャストは一流のモデルから実際のストリッパーまでを集め、主要人物の黒人ダンサーレイチェル役のアジジ・ジョハリは当時デヴィッド・ボウイの恋人で、デヴィッド・ボウイ自身も足しげく撮影現場に訪れ、ショーのシーンでは客席にエキストラのように座っています。

主役コズモ役のベン・ギャザラに監督は演技の支持はせず、彼の感受性に任せ、監督はベンのワードローブをそろえた程度で、精神的に支えていたそう。

キャストやスタッフのアイデアを積極的に取り込んで映画化する監督というだけあります。

ショーに情熱を注ぐ主人公は監督自身のメタファーとも。

マフィアもので切なく哀しい雰囲気はありますが、同時に人を楽しませるモノづくりをする人へのエールのような温かさも感じる映画です。

↓予告編

 
 

ジョン・カサヴェテス監督作品はこちらも見ました↓

katori-nu100.hatenablog.com

 

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