『ブレージングサドル』(1974年 アメリカ)
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西部劇の掟を破りまくり!
ギャグ&パロディー満載のコメディー映画
今朝の1日1映画は『ブレージングサドル』(1974年 アメリカ)を鑑賞。
アメリカ西部の州知事補佐ヘドリー・ラマー(ハーヴェイ・コーマン)は、白人ばかりが暮らす保守的な町ロックリッジから住民を追い出し、土地を安価で手に入れて儲けようと企てていた。
奴隷として工事現場で働いていた黒人バート(クリーヴォン・リトル)をスカウト。
黒人を保安官に採用し、不穏におびえた住民たちが自ら土地を捨てて町を出ていくことを企んだのだが…。
メル・ブルックス監督・出演による、パロディ満載のウエスタンです。
これは、笑いのベールに包まれた非常にブラックな内容…なんでしょうね。
黒人が保安官になどの人種系のギャグ、何度も頭をぶつけるなどの古典ギャグ、お色気&下ネタ、終始バカバカしいアメリカンギャグのオンパレードなので、たまに意外なシーンやクスっとは笑えますが、日本人にはそこまで笑えないっていう感じではあります。
だけど、フィナーレ近くになって、根底を覆すような展開があって、なるほど、一杯食わされましたとなる。
演者と観客の間の壁を超える「第4の壁」までではないんですが、「第3.5の壁」を破るようなことが待っています。
なので、前半はムム? なんですが、最後まで観ると、ありがとうございました感が増し、監督のユーモアや映画愛にあふれた映画だと分かるんですよね。
アカデミー賞には3賞にノミネート、アメリカの映画団体AFIの「アメリカ映画100年シリーズ」のコメディ映画ベスト100の6位にランキングされています。
監督のメル・ブルックスはユダヤ人で、小さい頃は体が小さくいじめられて苦労したようなんですが、「笑い」という武器を身に着けることによっていじめから回避する方法を学んだそう。
監督は映画に必ず「怒りと敵意」を忍ばせており、この映画にもそれらを笑いに変えた監督ならではの皮肉が満載なんですよね。
ヒトラーが意外な所で出てくるんですが、このシーンにはクーッと、笑いとともに唸るようなと監督のユーモアセンスを感じました。
カメラワークは、アップからの、引いたらオチが待っているような、ギャグのための効果的な手法。
監督の笑いの美学を感じる、意外にほっこりする映画です。
↓予告編