『深夜の告白』(1944年 アメリカ)
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におい立つような危険な香り+素晴らしい展開!
ビリー・ワイルダー監督の傑作フィルムノワール
今朝の1日1映画は『深夜の告白』(1944年 アメリカ)を鑑賞。
保険外交員のウォルターは、訪問先の人妻から夫に内緒で、彼に傷害保険をかけたいと相談される。
ただならぬ様子に一旦は拒絶するが、美しい妻の魅力にとらわれ夫殺害の共犯者に堕ちてゆき…。
ビリー・ワイルダー初期の作品にして、フィルムノワールの傑作といわれるサスペンス映画です。
ビリー・ワイルダー監督と聞いて、期待して見ましたが、これは面白い!
最初のシーンのエレベーターボーイと主人公の何気ないセリフのやり取りを聞いただけで、「あ、この脚本、すごいセンスが詰まってるわ」と感じたんですよね。
脚本はビリー・ワイルダー監督とハードボイルド探偵小説の作家レイモンド・チャンドラーの共作。
会話が多めで、思わぬ展開が自然とつながっていく推進力があるんですが、主要プロットが面白いのはもちろん、ミステリアスな雰囲気まとわせる細やかな演出に「5感」が入れ込んであるんですよね。
その5感の1つで特徴的なのが「スイカズラ」の香り。
魅力ある美しい妻に会いに行く途中、家の前でスイカズラの香りがします。
スイカズラは、常緑つる性木本の植物で、ジャスミンのような甘い香りを漂わせる。
冬でも葉が落ちないことから「忍冬」とも呼ばれる強い花。
虫たちがその香りに吸い寄せられるように、主人公が美しい妻に会いに行くときに何度かこの香りが漂い、妻に吸い寄せられるように惹かれていくという、メタファー(隠喩)になっているんですよね。
その他、聴覚である音楽も、映画のBGMとは別に、お話の中でキーとなる役割を果たします。
この映画はズバッと分かりやすいセリフより、匂わせ系のセリフが多いのにも関わらず、カメラ、演出、小道具すべてが揃った時非常に分かりやすくなっていて、しかも展開も凝っているというのが秀逸なんですよね。
さらに、綺麗系妻役のバーバラ・スタンウィックのキャスティング、探偵のようなベテラン保険員のエドワード・G・ロビンソンもすごく合っている。
ウディ・アレン監督も「史上最高の映画」と評するこの映画。
私もかなり好きな部類です。
ビリー・ワイルダー監督作品に外れ無しですね。
↓予告編