『偶然と想像』(2021年 日本)
演劇や朗読が好きな方は好きな世界かも。
濱口竜介監督の短編オムニバス。
今日の1日1映画は『偶然と想像』(2021年 日本)を鑑賞。
第71回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞したオムニバスドラマ。
かつての恋人に親友が思いを寄せていることを知った女性を筆頭に、偶然と想像をテーマにした三つの物語が展開。
『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督作品です。
ネタバレにならない程度に感想を。
演劇の舞台のような長回し(役者さん、すごい!)。
日常のようなリアルな会話から、だんだんと心を打ち明けていくと演劇的で詩的で劇的な会話が展開し、非常に緊張感があり引き込まれました。
3つの短編にはそれぞれ20代、30代、40代と、女性の主人公の話が展開。
20代の頃は尖った言葉のナイフでお互いを傷つけてしまうんですが、30代、40代と年を重ねると、そのナイフの刃は丸くなり、相手を受容できるようになる。
コミュニケーションにおける微妙な押し引きや、人間の成長、女性にとっての性などについてのエピソードが交わされ、わが身を振り返るような内容になっているなぁと感じました。
男性はこの映画をどう見るのかと気になるところです。
コントみたいに面白い場面もありますよ。
撮影は、近日公開を控えている映画『三度目の、正直』の撮影を担当した飯岡幸子さん。
撮影技法は気づいた分だけですが、長まわしと三脚固定が多く、クローズアップ(カメラ目線)、ホイップズーム、三分割法が効果的に使われていました。
大きな木が捨てカット的にインサートされます。
日常を切り取ったような雰囲気は韓国の監督ホン・サンスっぽい感じも(お酒は抜きの)。
人間賛歌なフランス映画の雰囲気が好きな人にはおすすめしたい映画です。
↓予告編