『第三の男』(1949年 イギリス)
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エビスビールの曲で有名な
芸術+エンターテインメント ミステリー
今朝の1日1映画は『第三の男』(1949年 イギリス)を鑑賞。
二次大戦後のウィーン。
親友のハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)の招きでこの街を訪れた作家のホリー
マーチンス(ジョセフ・コットン)は、到着早々、ハリーが死亡したことを知らされる。
ハリーの死には三人の男が立ち会っていたと言うのだが、その三番目の男の正体を追って、マーチンは独自の調査を開始する…。
ホリーの推理劇を通して、廃墟であったウィーンの暗黒の世界を浮き彫りにする、アカデミー撮影賞、カンヌ映画祭グランプリを受賞作品です。
超名作ですが、多分初めての鑑賞。
エビスビールのCMの音楽となったテーマ曲が印象的です。
この映画、第2次大戦終戦直後、米英仏ソの四カ国による分割統治下にあったウィーンという設定で、街には本当に戦争で破壊されて崩れた建物、横たわる廃車などがあり、戦争による傷跡の生々しさがあります。
日本にも戦後のどさくさっていう時期があったと思うんですが、まさにその感じで、混乱している感じが伝わってくる。
そんな何が真実か分からないような街で起こるミステリーという、戦後の混乱+事件の混乱な話になっています。
技術的に特徴的なのは、まず、コントラストの強い照明と歪んだ「ダッチアングル(斜め構図)」。
光と影を強調して、警察(光) VS 犯罪者(闇)の世界をしっかりと描き、ダッチアングル(斜め構図)によって、不安をあおります。
ここまで斜め構図が多用された映画を見るのは初めてで、ちょっと脳が混乱しますね。
それから「高低差」。
低=下水道、高=観覧車、というロケ地に上下の高低差を出すことによって、鑑賞者の気持ちの低=落ち着き&暗くて不安、高=高揚&高くて不安をコントロールする役割を与えています。
あとは「動物&子供」。
本能的で嘘をつかない(時に間違える)存在である動物や子供を、話の展開やキーとして要所要所に入れ込んであって、非常に効果的なんですよね。
当初の台本を書き換えたというラストシーンが非常にかっこよく、予想を裏切る展開になっています。
音楽の雰囲気も状況にはあえてそぐわせないような軽快さがあり、固定概念を払拭してある。
名作には、いい意味で予想を裏切る展開がきちんと入れ込んでありますね。
芸術的な絵作り+エンターテインメントのシナリオで、大変勉強になりました。
↓予告編