『バルカン超特急』(1939年 イギリス)
水野晴郎監督の“シベ超”シリーズの元ネタ。
イギリス時代を代表するヒッチコックの傑作。
今朝の1日1映画は『バルカン超特急』(1939年 イギリス)を鑑賞。
列車の中でミス・フロイという一人の老婦人が消え失せた。
アメリカの富豪の娘アイリスは、フロイの行方を探すが、彼女が居たという痕跡すらもない。
乗客もフロイの存在を信じない中、ギルバートという青年だけは、アイリスに協力を申し出るが……。
ユーモアとサスペンスにあふれた、ヒッチコックのイギリス時代の代表作です。
登場人物が多めでちょっと複雑なんですが、個性のある面々が繰り広げる面白い作品ですね。
前半、雪崩で列車が運行できず、乗客らがホテルに1泊するんですが、そこでたくさんいる登場人物がどういう人物なのかを説明していきます。
それが一通り終わってからがサスペンスの幕開け。
列車という密室の中で消えた一人の元家庭教師を探すため、登場人物の中の主要人物2人がストーリーを引っ張っていきます。
ヒッチコックと言えば、状況を盛り上げる音楽(「サイコ」など)が特徴的ですが、この映画ではBGM的な音楽はわざと最初と最後のみ。
劇中ではキャストが演奏する音楽のみとなっていて、それらが謎を解く重要なキーにもなっています。
小道具などで伏線がたくさん張られ、それらを見事に回収しつつ、アクションシーンも入れ込んであり、後半になるにつれて動物も出てくるくらいにぎやかになってきて、ストーリーがドキドキの展開に。
BGM的な音楽を入れないことは、画面上に映っているあらゆる人・物の中からミステリーのヒントとなるものを隅々まで観て探してくださいという意図が感じられます。
だけどまだ技法としては後の50~60年代のヒッチコック作品に多用されている多角的なアングル、アップショットや視線を意識したものは少ないかも。
これまでイギリスで活動していたヒッチコックが、この作品のヒットによりハリウッドに移るきっかけになったそう。
マイク・ミズノ(水野晴郎)が撮ったシリーズ『シベリア超特急』もこの映画からヒントを得ています。
昔見てもう忘れていますが、“シベ超”シリーズ、もう一回見直してみたくなりますね。
↓予告編