カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『もし中国の天才子役が紅楼夢”を演じたら~ 中国古典名作選』(全5話)(2017年 中国)

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画像:リンクより

演技レベルの高さに驚き。
中国古典文学を天才子役たちが演じる。

昨朝と今朝の1日1作品はドラマ『もし中国の天才子役が紅楼夢”を演じたら~ 中国古典名作選』(全5話)(2017年 中国)を鑑賞。

賈氏一族の眉目秀麗な貴公子・賈宝玉、聡明で学識があるが傷つきやすく繊細な美少女・林黛玉、良妻賢母のごときおおらかな美少女の薛宝釵。

この3人を中心に、封建社会の栄華と衰退を通して上流階級の生活を細部まで描いた作品です。

見るきっかけは、家に文学全集があるんですが分厚いし重いしでなかなか読み切ることができず、このまま断捨離するのもな…と思っていたところ、映画化された作品を見ていけば内容を知ることができ、さらに名作映画の勉強にもなるなと。

まず中国文学「紅楼夢」の映像化作品を見てみました。

紅楼夢」は清朝中期乾隆帝の時代(18世紀中頃)に書かれた中国長篇章回式白話小説で、著者は曹雪芹(そう・せつきん)(続作は高鶚(こう・がく))。

毛沢東も愛読したという中国では誰もが知る古典文学で、何度も映画や演劇、テレビドラマ化されてきた作品。

それをこのドラマでは7歳~13歳の子供が演じています。

それにしてもすごいんですけど、子役たちの演技が。。

普通、一般的な映画やドラマでは子役は子供を演じるんですが、これは大人を子供が演じていて、学芸会かと思いきや、その表現がまるで大人。

もうその感情表現から視線の演技、立ち振る舞いまで、子供とは思えない演技力で、字幕より表情や演技を見てしまって、お話の内容が頭になかなか入ってこないです(笑)。

この子たちは中国13億人の中から選りすぐられた精鋭たちなわけで、もうレベルが高すぎで。

主要人物はみんな美少女で、もう可愛さや美しさが完成されている感じ。

この子たちが大きくなったらどれくらい綺麗な子になるんだろうと想像すると、ほんと侮れないです。

上流階級の三角関係といってもドロドロはしてなく、どちらかというと関係性より、令息令嬢の心理や心のひだを丁寧に時間をかけて描かれている。

その分あまりお話の展開はないんですが、美しい景色とともにゆっくりと描かれる、弱くて感じやすい「児女の情」を見ることができます。

昔中国に行ったときに、芸能&運動系専門の小学校の見学に行ったことがあって、各部屋での授業風景を見せてもらったことがあるんですが、英才教育っていうんでしょうか、日本みたいなバランスの取れたカリキュラムじゃなくて、ダンス、声楽、体操みたいな一芸を子供の時から徹底的に学ぶ姿がありまして、こりゃかなわんな、と思った記憶が。

きっとこのドラマに出ている子たちも、演技についてかなりの教育を受けた子供たちなんでしょうね。

このドラマを見ることで、文学作品から中国の子役のすごさを知るという、ちょっとあまり出会わなかった体験ができます。

PS:この天才子役シリーズ、他に「三国志」「包青天」「水滸伝」もあります。

↓予告編

 

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『どん底』(1936年 フランス)

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ゴーリキーの戯曲を映画化。
富める者と持たざる者の人生を描いた名作

今朝の1日1映画は『どん底』(1936年 フランス)を鑑賞。

どん底であえぐ泥棒ペペル(ジャン・ギャバン)と、最後の賭博に負けて無一文になり、貴族社会から墜ちた男爵(ルイ・ジューヴェ)が親しくなり…。

ソ連の作家ゴーリキーの戯曲を映画化。

帝政末期のロシア社会を1930年代のフランスに置き換え、木賃宿を舞台にどん底から這い上がろうとするペペルと男爵の生き方を対比的に描いたジャン・ルノワール監督による名作です。

私の祖父がジャン・ギャバンに似ていると言われていたと聞いて、どんな俳優さんだったのか見てみたい思いで鑑賞(確かに、似ている)。

中心となるのは泥棒ペペルと男爵の友情物語ではあるんですが、その周りの冷えた夫婦、こき使われている妹、それに言い寄る太った警部のやり取りが交差し、人間関係に駆け引きや複雑性があってちょっとサスペンス風でもあります。

中心人物の周りには、盗みや詐欺などをしてその日を何とかやり過ごしながら集まって暮らしている木賃宿に住む人々の姿が。

アコーディオンを鳴らしながら歌い、カードゲームに没頭。

お金はないけどコミュニティーがあり、一見楽しそう。

だけど、死と隣り合わせでもあって。

一方男爵は、もともとあった金を使い果たし落ちぶれていつの間にかこの木賃宿の住人に。

人間どん底過ぎても死と隣り合わせだし、裕福すぎても欲が人生をダメにするという、誰もが考えさせられるテーマを扱っています。

画としては奥行きのある構図が印象的。

冒頭では鏡への映り込みを利用して、空間に広がりを持たせてあります。

階段でのシーンでは下段から上段までに人物を段差を付けて配置することによって奥行きが出て、さらに狭い画角でも手前から奥、または奥から手前に動くことができる。

また、2階の窓枠の両サイドに人物を配置し、逆光で照らし、ズームで寄ると外にいる人々が窓枠の中心にフレームインしていくシーン。

これも本当に絵画的で美しくて。

ジャン・ルノワール監督は印象派の画家ピエール=オーギュスト・ルノワールの次男で、幼い頃から父の絵のモデルをするなど絵画になじんていたことから、絵画的な画づくりというのがもう身に染みて分かっていたのかななんて想像したりします。

女優さんがかぶっているベレー帽、線のような細眉など衣装やメイクからも30年代を知ることができる作品。

黒澤明監督も同じ原作を江戸時代に置き換えた作品『どん底』(1957年)を撮っているということで、これもぜひ見てみたいと思っています。

ジャン・ルノワール監督の『ゲームの法則』も面白かったです。

↓予告編

 
 

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『デッド・ドント・ダイ』(2019年 アメリカ)

インディーズ・シネマの巨匠ジム・ジャームッシュ監督によるオフビートなゾンビ映画

今朝の1日1映画は『デッド・ドント・ダイ』(2019年 アメリカ)を鑑賞。

警察官が3人しかいないアメリカの田舎町センターヴィルで、前代未聞の怪事件が発生した。

無残に内臓を食いちぎられた女性ふたりの変死体がダイナーで発見されたのだ。

困惑しながら出動した警察署長クリフ(ビル・マーレイ)と巡査ロニー(アダム・ドライバー)は、レイシストの農夫、森で野宿する世捨て人、雑貨店のホラーオタク青年、葬儀場のミステリアスな女主人らの奇妙な住民が暮らす町をパトロールするうちに、墓地で何かが地中から這い出したような穴ぼこを発見。

折しも、センターヴィルでは夜になっても太陽がなかなか沈まず、スマホや時計が壊れ、動物たちが失踪する異常現象が続発していた…。

アメリカン・インディーズ・シネマの巨匠ジム・ジャームッシュ監督による2019年カンヌ国際映画祭オープニング作品となったゾンビ映画です。

ジム・ジャームッシュ監督作品は、昔『ストレンジャー・ザン・パラダイス』『ミステリートレイン』とかすごく好きで、いろいろ見てました。

なんかカッコいいのにとぼけているんですよね。

で、この映画はアメリカでは酷評されていたりしますが、私はすごく好きな感じ!

ゾンビ映画なんですが、怖がらせます!っていう気合の入った作品ではなくて、やっぱりどこかとぼけていて笑えるんですよねぇ。

テーマ曲はゆる~い曲調のカントリーで、その歌詞(書き下ろし曲)の「あんたや俺以上に死体は死ぬようなことはない~♪」みたいな世界観が全編に漂っていて。

構成的には、前半で言った意味深なセリフが後半にも出てきて見事に回収していく様が非常に心地よく、「あ、このセリフ、出てきた!」「これはこの意味だったのね」みたいな瞬間が何度も味わえます。

面白いキャラは女性警官のミンディ。

空気を読まないキャラ(横に死体があっても美味しく食べ飲みできる系)で、コントのボケの役割が。

後半の彼女のシーンでは声を出して笑ってしまいました。

謎の女・ゼルダも、日本刀を振り回し存在感を放つ。

狭い田舎町に起こる、みんな顔なじみだからこその展開と、ゾンビや世捨て人による俯瞰の視点で人間を見ているのも面白いです。

この映画にはトリビア的な要素がたーくさん盛り込まれてあるようで、ゾンビ映画の名作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』はもちろん、『スター・ウォーズ』やフランク・ザッパの映画『200モーテルズ』、アメリカで人気があった深夜ホラー番組など、分かる人にはたまらない仕掛けも。

その他、主題歌を歌うスタージル・シンプソンや、伝説のロッカー イギー・ポップもゾンビ役でカメオ出演しているという豪華さ。

ジム・ジャームッシュの35年のキャリアの中で初めて、アメリカで広く公開 (600以上の劇場) された映画ということで、酷評はジム・ジャームッシュ作品を初めて見る、ゾンビを怖がりに来た一般のお客さんの評も入っているのかなとも思います。

シュールなコメディーが楽しめる人にはお勧めしたい映画です。

台風の地域の方、お気を付けください。

日本公式サイト↓

 
 

↓この映画のオマージュも。ゾンビ映画の金字塔。2人乗りのマイクロカー「スマート」を巡査役のアダム・ドライバーが乗りこなしていますが、「スマート」はこの映画にも登場↓いつもご覧いただきありがとうございます♪

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『デイ・アフター・トゥモロー』(2004年 アメリカ)


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絶対零度の世界がリアル。
地球温暖化のもたらす世界。

今朝の1日1映画は『デイ・アフター・トゥモロー』(2004年 アメリカ)を鑑賞。

古代気象学者ジャック・ホールが、自らの研究から地球温暖化による世界規模の大災害を予告。

その4カ月後、世界各地で異常気象が発生し、彼の仮説が証明されることに……。

インデペンデンス・デイ」のローランド・エメリッヒ監督によるスペクタクル巨編。

ロサンゼルス、ニューヨーク、東京、ロンドンなど、世界の大都市が竜巻や洪水などにより崩壊。

その中で生き延びようとする人々の生き様を描く作品です。

以前からおすすめされていて見れていなかったのと、台風接近のため、少しでも何かの役に立つかと思い鑑賞。

いやー、すごい映画ですね。

前半のつかみの部分でワーキャー言ってしまうくらいドキドキ。

津波や竜巻はCGだと分かっているんですが、なんかリアルで。

パニックものって目の前で何か起きているのかというのはよくあるんですが、上空から見て街がどうなっているかという俯瞰の視点があり、さらに宇宙から見ると地球で何が起こっているかまでの視点が入れ込んである。

明日高校生クイズに出るんですけど…っていうミクロの視点から、宇宙船に乗り込んでいる宇宙飛行士が空から地球を見るマクロの視点までが。

その分、いろんなエピソードがたくさん入れ込んであるので、前半は一体誰の話か訳が分かんなくなるくらい。

途中くらいから、ああ、この親子3人とその3人それぞれの人間関係が、あらゆる立場からこの地球の異常現象を捉えた映画なんだなと筋が分かってきました。

群像劇的な感じもありますね。

これまでの歴史で天変地異があっても人類が生き残ってきたから、この危機の中でも絶対生き残れるという強い言葉が胸に響きます。

というわけで、他にも書きたいんですが、今、リアルに台風が迫っていまして、大雨の中、これまで聞いた事のない長ーーいサイレンが外で鳴り響いています。

スマホのアラートも大きな音で次々鳴ってる…。

現実にも迫りくる恐怖を感じつつ、今日のところはこれくらいで。

台風の影響がある地域の方は、本当にお気を付けください。

 
 

↓気象現象というと、火山も怖いですよね。

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『霊幻道士』(1985年 香港)

サモ・ハン・キンポー製作総指揮
キョンシーブームを巻き起こしたシリーズ第1弾。

今日の1日1映画は『霊幻道士』(1985年 香港)を鑑賞。

化けモノ退治を生業とするガウ道士(林正英/ラム・チェンイン)が、大富豪ヤンから先代の改葬を依頼される。

墓を掘りおこしてみると、先代は怨念を抱き成仏できないでいた。

ガウ道士は、弟子のモン許冠英/リッキー・ホイ)とチュウ(銭小豪/チン・シュウホウ)とともにその遺体を持ち帰るが、いつのまにかキョンシーとなって蘇った先代はヤンを殺害して逃亡。

3人はヤンの美しい娘ティン(李賽鳳/ムーン・リー)を守るため、キョンシーを迎え討つ!

中国の代表的な妖怪であるキョンシーと妖怪始末のエキスパート霊幻道士の死闘を描くクンフー・ホラーです。

3年前に台湾に行ったときにテレビでやっていて、わーキョンシーだーと思って見ていたんですが、よく見ると「リッキー・ホイが出てる!」と興奮気味にテレビ画面の写真を撮っている自分がいました(笑)。

リッキー・ホイは香港映画のコメディーシリーズ「Mr.Boo」でマイケル・ホイ、サミュエル・ホイとともに活躍するホイ三兄弟シリーズが好きでよく見ていたんですが、このキョンシーのシリーズはそんなに見たことがなかったので見てみました。

意外と面白いですね~!

配給がゴールデンハーベストで、あのオープニングのロゴ+音楽を見る&聞くだけでテンションが上がるんですが、製作総指揮がサモ・ハン・キンポーで、子供向けのコメディーかと思いきやアクションはジャッキー・チェンばりに本格的!

ワイヤーアクションはもちろん、2階から落ちるとか、火だるまとか、いやいやいやそこまでは求めてませんから(汗)というぐらい身体を張ったアクションが次から次へとやってきて。

B級感あふれる特撮も味があるし圧倒されまくりです。

歴史設定は1910年代中華民国時代なんですが、香港や、中国、台湾の歴史ものの作品を見ると、「道士」や「お札」「念力」「鶏血」「おまじない」とかの、神仙思想や風水や星宿、易学を用いた道教の思想やアイテムが出てくることが多い。

普段割と西洋的価値観の多い中で暮らしていると、こういった東洋的な価値観や思想が展開する作品がすごく新鮮で。

今でも中国・韓国・台湾に行くと、漢方や民間療法、占いや祈ることが日常的にあって、日本とはまた違った文化が存在していることに気づかされます。

一応ホラーなんですが、単純に笑えるシーンも随所に盛り込まれていて全体的に怖いようで怖くない(グロさはありますが)。

しかも怖いシーンでもあまり怖くないのはなぜなんだろうと思ってみると、ライティングもその一つかと。

なんか明るいんですよね、全般的に。

ホラーって暗い所で怖いことが起きるから怖いというのがありますが、この映画は割とどのシーンにもライトが煌々と照らされているので、怖いというよりコントみたいで面白いの方に寄ってるんです。

その他、シーンによっては赤、黄、青などの舞台照明のようなライトも当ててあって、派手というか。

原色が好きな香港映画らしいライティングではあります。

そのシーンをどう見せたいかに関して、ライトが重要な役割をしているんだなーということも勉強になります。

香港だけでも映画の興行収入は 2000 万ドルに達した大ヒット映画。

この後シリーズ化され、ゲームソフトやゲームブックにも。

リッキー・ホイさんが見たくなったらまた見ようと思います。

 
 

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『ある用務員』(2021年 日本)

福士誠治が映画初主演
用務員が少女を守るクライムノワール

今朝の1日1映画は『ある用務員』(2021年 日本)を鑑賞。

高校の用務員として勤務している深見(福士誠治)。

父親が元暴力団員だった深見がそこで働く理由は、父親の兄弟分である真島(山路和弘)の娘・唯(芋生悠)を守るためだった。

暴力団の抗争の激化により真島が殺害され、跡目争いが勃発。

唯が狙われ、学校が抗争の場と化す中、深見は唯を学校から救出しようと立ち上がる…。

バイオレンス映画界の新星・阪元裕吾による完全オリジナル作品です。

去年映画館でやってた時に気になりつつも見逃していた作品。

福士誠治さん、この作品が映画初主演というのも驚き。

10年ぐらい前、福士さんのドラマ『チーム・バチスタ』や主演の舞台は見に行っていて、映画としては『日輪の遺産』などでの活躍が記憶にあります。

学校用務員が用心棒でありアサシン(刺客)という、そのギャップが面白いんですが、ストーリーが展開するうちに、守るべき人や憎むべき人が同時に生まれ、そこに葛藤が描かれていて、なかなか面白い。

伏線となる動作にもグッときますね。

学校の図書館、ピアノが置いてあるホールなど学校の特徴ある部屋を生かしたアクションが展開。

刺客が8人も出てくるんですが、人数多めの映画にありがちな「この人誰だっけ?」がない、個性豊かな分かりやすいキャラクター設定によりすべて把握できる点も良いです。

芝居も役が憑依しているのかアドリブかと思うくらいリアルで。

アクションシーンは場面が学校だからか、個人的にはコロンバイン高校銃乱射事件をテーマにした『エレファント』(2003年 アメリカ)のような雰囲気があって、無表情で殺していくシーンは日常に潜む恐怖が。

技法としては、ゆっくりズームイン&アウトでじわじわと人物の心情を表す部分や、ハンドカメラやクイックモーションのようなアクションならではの動きに魅了されます。

映画全体の色味がグレイッシュなブルーで、用務員の制服も同じようなグレー。

撃たれた時に深紅の血がにじむとアクセントとなり、青と赤で反対色のような効果があって、表現は変かもしれないんですけど、静かな綺麗さがあるんですよね。

血の色の赤と血管の色の青をこういったアクション映画に用いられると、命の儚さみたいなものを象徴的に表すような気がします。

そこに、窓から差し込む光が逆光となって主人公と守るべき唯(芋生悠)をシルエットで映し出す。

美しいです。

主人公の生い立ちについては、もう少しエピソードがあればなと思いますが、よく考えてみたらこのくらいがちょうどいいのかも。

福士誠治さん、非常にいい役者さんだなと思うので、これからもっと活躍してほしいです。

PS:この映画の制作委員会にU-NEXTが入っていて、U-NEXTでの配信ではキャストインタビュー、メイキングなどの特典映像も見ることができます。

↓予告編

 
 

↓こちらは同じく学校が舞台ですが、本当にあった事件の映画化。

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『蒲田行進曲』(1982年 日本)

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泣く、笑う、(手に汗を)にぎる、まさに劇的!
つかこうへいの舞台を映画化した名作。

今朝の1日1映画は『蒲田行進曲』(1982年 日本)を鑑賞。

時代劇のメッカ、 東映京都撮影所

人情に篤いが激情家なのが玉にキズの大スター銀ちゃん(風間杜夫)と、その銀ちゃんに憧れる大部屋俳優のヤス(平田満)。

ある日、ヤスのアパートに銀ちゃんが女優の小夏(松坂慶子)を連れてやって来た。

銀ちゃんの子を身ごもった小夏をスキャンダルになるからとヤスに押し付けに来たのだった……。

映画撮影所を舞台に、スターと大部屋俳優の男、そして落ち目の女優の奇妙な人間関係を軸に、撮影所の舞台裏を織り交ぜて描く、つかこうへいの舞台を深作欣二が監督したちょっと辛口の大ヒット人情喜劇です。

こんなに名作なんですが、初鑑賞です。

つかこうへい原作のお芝居は過去に『熱海殺人事件』などを見たことあるんですが、まくしたてるような早口でどんどん進むイメージで、個人的にはその世界観に酔いしれる感じではなかった記憶が。

でもこの作品は、すごいですね。

ラストではウルっときてしまいまして。

まず、すごいなと思ったのは、熱量。

もともと舞台作品だけに、現実離れした感じではあるんですが、特に風間杜夫演じる、舞台からそのまま抜け出てきた破天荒なキャラクターがぶっ飛んでいて。

この作品から風間杜夫さんは人気が出てTVドラマ『スチュワーデス物語』でさらに大ブレイク。

当時33歳で、シュっとしていてかっこいいです。

次に、心を打つ主人公ヤス(平田満)の健気さ。

大部屋の売れない俳優が、俳優仲間に難題を押し付けられるんですが、それを慎ましやかに受け入れて、怪我をしながら頑張る姿が愛おしくて。

人間って、なんやかんや言っても自分が一番大事だったりします。

でもこの主人公は、愛する人はもちろん他人や他人の子供に対しても優しい。

そのためには命の危険をも顧みない。

こんな命がけで他人のために頑張る主人公に心を打たれない人っているでしょうか。

彼にも葛藤があるんですが、それに打ち勝っての行動。

まさに「利他の心」です。

脚本的には、映画の撮影所という、体力は使うけどよっぽどでない限り命の危険まではない場所を、高所という「死の危険」のある場所に設定して、スリルを生み出している点。

「落ちたら死ぬよ」という場所でアクションを展開してあり、原始的に誰もが共感できるんですよね。

さらに、そこに彼らの人生や立場をもメタファー(隠喩)として入れ込んである。

この映画も立場や貧富を高低差で表現した、「高低差映画」(『パラサイト 半地下の家族』『タイタニック』など)の部類だということに気づかされます。

松坂慶子さんは、脱いでらっしゃって大胆な演技も素晴らしいんですが、2人の男性に対して心が揺らぐ内心を本当にうまく表現していて。

「あんたーーーーっ」って叫ぶセリフが耳にこびりついて離れません。

技法はズームが多用され、動きのある場面が多く、ザ・活劇。

ちょっと違いますが、先日私も地元劇団の舞台公演の撮影&編集をしたんですが、舞台をいかに映像で見せるかというのに苦労して。

作監督の舞台を映画化する際の魅せ方についても勉強になります。

人を楽しませるような技がたくさん詰まった作品です。

 
 

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