『闇打つ心臓 Heart, beating in the dark』(2005年 日本)
画像:リンクより
子供を殺した男女は二度出会う。
8mmフィルムのエネルギー、役者の熱い思いが詰まった作品。
今朝の1日1映画は『闇打つ心臓 Heart, beating in the dark』(2005年 日本)を鑑賞。
自分たちの子どもを殺して逃げるリンゴォ(内藤剛志)と伊奈子(室井滋)。
別々の道を歩んできたふたりは23年ぶりの再会を果たす。
久し振りの再会に複雑な感情が呼び起こされる。
同じころ、かつてのふたりと同じように自分たちの子どもを殺し、知り合いのアパートに転がり込んだ若い男女の透(本多章一)と有紀(江口のりこ)。
有紀は赤ん坊の鳴き声の幻聴に悩まされていた。
現実から逃げ回る2組のカップルが出会い、それぞれの思いが交差する…。
『8月のクリスマス』の長崎俊一監督が、1982年に8mmで撮影した同名作品を自らリメイク。
子供殺しという重罪を犯した男女の逃走劇を、映画製作過程のドキュメント、オリジナルの8mm版、そして新たに作られたドラマ部分が交錯するという新感覚の試みで描いた作品です。
この作品自体はとても独特な作りをしているんですが、いやー、すごい。
8mmフィルムから伝わるエネルギーが。
1982年のオリジナル版の時は、内藤剛志さん27歳、室井滋さん24歳、長崎俊一監督26歳。
(エンドロールには助監督として諏訪敦彦監督の名前も)
主人公たちの感情の高まりやSEXシーンなどから、その現場の緊張感が刺さるように伝わり、その他のシーンも当時の若い映画人たちがいかに観客をびっくりさせてやろうかという発想力が詰まっていて、8mm映画がものすごいエネルギーを持っていたことを改めて感じます。
そこに2005年版では本多章一さん(当時26歳)、江口のりこさん(当時25歳)が同じ役を演じていて、身体を張った演技をやっているんですが、2人ともスラッとしていて美しく、雰囲気もちょっと緩くて、気迫というより美しさの方が勝っていて伝わってくるものが全く違うんですよね。
またドキュメンタリー部分においては、内藤剛志さんのこの映画に対する思いがものすごく、俳優が1本の作品に熱く真剣に取り組む姿勢が伝わってきて感銘を受けます。
我々も自主映画をやっていますが、男女ともに役者さんにここまで脱いでもらったりできない状況&時代に、こういう作品を見ると今やっていることが何となくぬるく感じてしまう感じもある。
それはただ脱いでいるのではなく、必然性を伴ったシーンで非常に説得力があるからこそなんですけどね。
映画の作り手の思いや時が経過してからの考えの変化、それらを1本の作品で感じ取ることができる、珍しい作品です。
↓予告編
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