カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『アレノ』(2015年 日本)

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画像:リンクより

文豪エミール・ゾラの名作「テレーズ・ラカン」を原作に、愛人との情事に溺れる妻を描いた愛憎劇

今朝の1日1映画は『アレノ』(2015年 日本)を鑑賞。

病弱な夫(川口覚)と味気ない結婚生活を送っていた妻(山田真歩)は、2人の幼なじみでもある男(渋川清彦)と不倫関係にあった。

妻は男と結託し、偶然を装って夫を溺死させようとする。

しかし、夫を湖に突き落とそうとした時、乗っていたボートが3人もろとも転覆。

なんとか岸にたどり着いた妻と男は、湖畔のラブホテルに宿をとり、情欲にふけりながら夫の溺死体があがるのを待つことにする…。

フランスの文豪エミール・ゾラの「テレーズ・ラカン」を翻案し、舞台を現代日本に置き換えて『かぞくのくに』『夏の終り』『楽隊のうさぎ』のプロデューサー越川道夫が初監督した作品です。

欲望を優先して人としての道を外れた時、どういう精神状態になるのかという心模様を、ゆっくりと、幻想的に、たまに緩急を付けて丁寧に描かれた作品。

色味として深い青が印象的ですが、その中にさし色でホテルの壁紙やソファーの赤が入る。

赤と青って血管のイメージがあって、男女の燃え上がるような恋愛にもぴったりです。

殺した夫の姿やイメージが脳裏から離れない様を、服や指輪、傷跡などのモチーフを上手く使って表現しているのと、アップからの引きを使って意外性も演出してあるのもいい。

ただ、原作にある、主人公の女性が育ての親 ラカン夫人のひ弱な一人息子と薦められるまま結婚してしまうという部分に相当する前置きがほぼないのと、幼馴染みに恋をしてしまうきっかけとなる場面は描かれていないので、彼女が殺人にまで至る社会的背景や動機が弱く、主人公に同情する面はあまりないんですけどね。

そこは想像でカバーして、「殺人、その後」としての心境を読み解く感じで見るのがいいかもしれないです。

印象的なのはラストシーン。

キム・ギドク監督の『サマリア』(2004年 韓国)のラストシーンと似たような状況で、主人公の心境を表現していて。

そして人生は続く…という感じに仕上がっています。

主演の山田真歩さん、視線で語る演技が素晴らしい。

登場人物が少なく、そんなに予算を賭けていない作品ですが、ふわっとしたホーン系の音楽や浮遊感のある演出で映画の世界観に浸れる作品です。

↓予告編(R18+)

 
 

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