カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『山の音』(1954年 日本)

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画像:リンクより

ノーベル賞作家・川端康成の小説「山の音」が原作
戦後の家族や男女を成瀬巳喜男監督が描く

今朝の1日1映画は『山の音』(1954年 日本)を鑑賞。

信吾(山村聡)は修一(上原謙)・菊子(原節子)の息子夫婦と同居しているが、息子には愛人絹子(角梨枝子)がいて、妻を省みようとしない。

やさしい嫁を不憫に思う義父は、夫婦の関係を何とか修復しようと誠意を尽くすが・・・。

ノーベル賞作家・川端康成の小説「山の音」が原作。

鎌倉のとある中流家庭を舞台に、老境に入った男が、同居する若く美しい息子の嫁に抱く複雑な感情を名匠・成瀬巳喜男が監督した作品です。

原作は未読ですが、原作とは違う描き方をしてあるようで、原作は信吾の心模様を丁寧につづっていますが、映画は信吾よりも女性が主役といってもいいほど。

姉の死で代わりに結婚した(のであろう)信吾の妻、気遣いが多く女中のように使われる嫁の菊子、夫が浮気して2人の子を連れて里帰りしてくる娘、菊子の夫の愛人の絹子。

封建的、閉鎖的な社会からの女性の自立や自由な生き方を描いた作品を多く撮っている成瀬巳喜男監督だけに、この作品も女性の描き方がリアル。

戦後の混乱の中生きる男性たちを周りで支えつつも、それぞれが一人の女性として生き方を選択し、どう自分の足で歩いていくかというのが描かれていて、女性ならこの4人の誰かに共感できるんじゃないかなと感じます。

それにしても、修一(上原謙)がねぇ、女性からしたらめっちゃ悪!

今世間では某スポーツ選手の女性スキャンダルが騒がれていますが、この開き直りようはその比じゃない気がします。

産む・産まないとなったときに、ひっそりと泣き寝入りするのか、一人で産んで育てるのかという選択を、女性が自分で決断しているところが原作と違っていて、成瀬巳喜男監督の考える女性像なんだろうなと感じました。

揺れる電車内で気持ちが揺れるシーンを撮影し、ずっと並木が続く晴れやかな道で人生を切り開くシーンを撮影するなど、心情と風景がリンクしているのも心地よい。

それにしても原節子さんって義理の嫁役が似合いますね(あの笑顔がいい意味で営業スマイル的だからかな)。

また朝から心を揺り動かされる名作に出会ってしまいました。

PS:同じ撮影クルーが同じ年に『ゴジラ』 (1954年) を撮影しています。

↓予告編

 
 

成瀬巳喜男監督作品はこれらも見ました↓

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