『アイ・アム まきもと』(2022年 日本)
水田伸生監督×阿部サダヲ主演
コメディーだけど考えさせられます。
今朝の1日1映画は、昨日劇場で見た『アイ・アム まきもと』(2022年 日本)をストーリーのネタバレは無しで感想を。
小さな市役所で、人知れず亡くなった人を埋葬する「おみおくり係」として働く牧本(阿部サダヲ)。
故人の思いを大切にするあまり世間のルールより自分の考えを優先してしまい、周囲に迷惑をかけてばかりいた。
そんなある日、新任局長・小野口が「おみおくり係」の廃止を決定。
身寄りなく他界した老人・蕪木の埋葬が「おみおくり係」での最後の仕事となった牧本は、蕪木の身寄りを探すため彼の友人や知人を訪ね歩くが…。
「舞妓 Haaaan!!!」の水田伸生監督と阿部サダヲが4度目のタッグを組み、2013年製作のイギリス・イタリア合作映画「おみおくりの作法」を原作に描いたヒューマンドラマです。
“おみおくり”系映画といえば、滝田洋二郎監督・本木雅弘主演『おくりびと』(2008年 日本)を思い出すんですが、あちらが静ひつで儀式的な雰囲気があったのに対して、こちらはコミカル。
前半はガサつく感じのドタバタですが、後半はふわっとしていてファンタジーっぽくもあって素敵です。
人は独りで生まれ、死ぬ時も独り。
亡くなった人に対して、気持ちを切り離して事務的に対処するお役所仕事としてではなく、一個人として死と向き合う主人公の姿は、人生で何が大切なのかを改めて考えさせてくれます。
印象としては寄り添うように流れるマリンバの音楽。
柔らかくて余韻がある、ぬくもりと哀しみを同時に持ち合わせた音色が、人生の悲喜こもごもを描いたこの映画にぴったり。
撮影技法としてはドローンが印象的。
山形県酒田市・鶴岡市・庄内町・山形市、新潟県村上市でロケをしており、海や山の自然が豊かで夕日が絵葉書のように美しいんですが、スーッと上空へ滑らかに移動したり、絶景の上を動いたりする様子は魂が浮遊しているかのようなイメージを連想させ、死と向きあう映画の世界を象徴しています。
阿部サダヲさん演じる牧本がナハナハポーズをする時やきちっと整頓された部屋の雰囲気からわかる人柄、人の“におい”というものを所々に入れ込んで生死を表現、死から生への命のリレーなど、細やかな演出が映画全体の印象を方向づけている。
水田伸生監督作品って面白いイメージですが、よくよく見るとこだわりが細部にあって、それらが観客の琴線のどこかに引っかかるようにできていて感心させられます。
自分が死ぬときには、そして死んだ後には、どうありたいか。
見た人に問いかけるような映画です。
(私は、断捨離しなきゃと思わされました…。)
↓予告編
↓この映画の元となった英・伊合作映画です。
↓小説版です。
『アイ・アム まきもと』に宇崎竜童さん(現在76歳)が出演されているのですが、3時代変化を見ていました。
↓当時40歳の宇崎竜童さん。 ↓当時32歳の宇崎竜童さん。
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