カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『異動辞令は音楽隊!』(2022年 日本)

阿部寛が魅せるドラムプレイ!
“疎外感”を生み出す画作りに注目。

今朝の1日1映画は『異動辞令は音楽隊!』(2022年 日本)をU-NEXTのポイントで鑑賞。

部下に厳しく、犯人逮捕のためなら手段を問わない捜査一課のベテラン刑事・成瀬司(阿部寛)。

高齢者を狙ったアポ電強盗事件を捜査する中で、令状も取らず強引な捜査を繰り返した結果、広報課内の音楽隊への異動を言い渡されてしまう。

不本意ながらも音楽隊を訪れる成瀬だったが、そこにいたのは覇気のない隊員ばかりで……。

『ミッドナイトスワン』の内田英治監督が脚本も手掛け、阿部寛を主演に迎えたヒューマンドラマです。

タイトルだけの印象で、明るいコメディーなんだろうなと思ってたんですが。

ちょっと違いました。

公開されたばかりの作品なので、ストーリーをそこまでネタバレしないように書くと、ストーリーやキャラ設定はわりと王道かも。

なので、展開は予想がつく部分も多いんですが、事件と音楽隊のエピソードの絡ませ方などはちょいちょい予想を裏切るシーンもあって、オッと思わせる。

音楽モノなので、もちろん感動。

私はちょっと泣けました。

本格的にドラムをたたく阿部寛さん、石原裕次郎主演『嵐を呼ぶ男』の再来のようです!

でここからは技法の気づきなんですが、よくある王道映画とは違うなと思ったのは、画作り(技法についてのネタバレがあるので見る予定がある方はご注意ください)。

まず、暗い。

屋内のシーンでは照明が付いていないシーンが多く、自然光の中で演じているように見せている。

普通、会議って、蛍光灯とか部屋の電気を付けて行うと思うんですが、付けずにやっていて(省エネモード会議?)、窓から差し込む夕日で会議をやっていて。

家も蛍光灯はそんなになくて、テレビと間接照明やシャンデリア、ペンダントライトとかがぼんやりと登場人物に光を当てる。

カラーグレーディング(色調整)もコメディー映画だったら映像自体が明るい雰囲気がありますが、この映画は暗め。

それによって、内容は王道なんだけど、独特のアート感やシリアス感が出て、非常に雰囲気があるんですよね。

それから被写界深度

フレーム内で登場人物や物が見える領域が浅く設定してあるシーンが多い(特に前半)。

いわゆる背景をぼかすという技法。

主人公の背景をぼかすことにより、主人公が自分の内面を見つめているように見せたり、周囲からの疎外感、孤独感を浮き上がらせたりする効果があって、精神的に孤立した状態を作り出すことができます。

そのほか、手前にピントが合っていて、奥から人物がやって来る場合、最初はボケてて誰だか分かんないけど、手前に来たら誰だか分かるというシーン。

こういうのもボケを上手く利用しているなと思いました。

そういった技法によって、ヒューマンストーリーだけど表現方法にちょっとした捻じれを生じさせてストーリーに奥深い印象を与えている。

内田英治監督の第44回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した『ミッドナイトスワン』(2020年)はまだ見てないんですが、撮影監督は伊藤麻樹さんで、この映画も『ミッドナイトスワン』も手掛けてらっしゃるんですね。

主人公が感じる“疎外感”を描いているという面では同じ部類なので、画作りに共通する面があったのかも。

機会があれば見てみたいと思います。

8/26(金)から現在全国の劇場で公開中。

映画は映画館で!

↓予告編

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