カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『月世界旅行&メリエスの素晴らしき映画魔術』(2011年 フランス)

120年前の映画に“バルタン星人”がいる!?
フィルムの修復作業&映画の父の成功と挫折の人生

今朝の1日1映画は『月世界旅行&メリエスの素晴らしき映画魔術』(2011年 フランス)を鑑賞。

「映画の父」といわれるエジソンリュミエール兄弟から、奇術師ジョルジュ・メリエスによる特撮・SF映画の誕生など映画創世記の歴史を振り返るドキュメンタリー。

メリエスの代表作「月世界旅行」のカラーフィルムをデジタル修復する作業工程や、トム・ハンクスミシェル・ゴンドリージャン=ピエール・ジュネらへのインタビューを通し、いまなお多くの映画人を魅了するメリエスの映画魔術に迫っています。

リストア作業によって復刻した「月世界旅行」カラー版をラストに収録。

昨日の『カリガリ博士』(1919年)が103年前でもあんなに見事な作品でびっくりしましたが、それより古い『月世界旅行』(1902年/日本だと明治35年)の映画ってどうなの? と思って見たんですが、またびっくりするような特撮の連続で。

光を取り入れるためにガラス張りの温室のようなスタジオを作ってそこで昼間に撮影。

カメラは固定で、舞台セットを映した演劇的なものではありますが、持っている杖が一瞬で椅子に変わったり、2重写しで早変わりしたり、煙が上がったと思ったら人やモノが消えていたりと、まるで手品を見ているようなアッと言わせる仕掛けが満載。

今のようにサクッとコンピュータで作ることができない時代に、1シーンに50個ぐらいの仕掛けを撮り、見た目には分からないように重ねてある。

カラー化もしてあって、200人の女工によって後からフィルムに筆で1コマずつ直接色を塗るというすんごい手作業もあって。

裏で巨大な仕掛けを動かすドリフのコントとか、何工程も重ねる江戸時代の精巧な版画とかとも似た、ものすごい手間をかけた作品で、それが映写機に掛けられ、スクリーンに映った人々が動いた時には感動もひとしおだったんでしょうね。

また、1902年の製作時の話とともに、修復作業の話が面白い。

ボッロボロ&切れっ切れに劣化したフィルムをものすごい時間と行程を賭けて修復していく様子が映し出されていて、途方もない作業を根気よく何年もかけてやっていく姿に感動です。

それにしても、月に住む宇宙人のような生命体が出てくるんですが、どう見てもウルトラマンに出てくる「バルタン星人」にそっくり!

バルタン星人のデザインを担当した成田亨さんも影響を受けているのかもしれないですね(あくまで想像ですが)。

後世の映画人に多大な影響を与えた本作品ではありますが、海賊版の存在や時代の変化などによって評価が変わっていく様子も解説してあり、映画の黎明期がどのようなものだったのかということも知ることができます。

サイレント映画をなめたらいかんぜよ、ですね。

PS:この映画に収録されている『月世界旅行』の音楽は、単体の作品についているピアノ曲ではなく、リズムの利いた音楽になっています。これはこれでいいかもですね。

↓予告編

 

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