『80日間世界一周』(1956年 アメリカ)
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3時間で世界旅行に行った気分に!
ソール・バスのアニメーションにも魅了。
今朝の1日1映画は『八十日間世界一周』(1956年 アメリカ)を鑑賞。
ビクトリア王朝時代のイギリス。
80日で世界一周できるかどうか賭けをした紳士、フォッグ(デビッド・ニーブン)が召使パスパトゥ(カンティンフラス)を連れて旅に出た。
花の都パリでは気球を買って飛び立ち、スペインでは闘牛士となり、カルカッタでは姫を助け、横浜・サンフランシスコ・ニューヨークへと旅は続く。
果たしてフォッグは時間までにイギリスへ帰ることができるのか?!
フランク・シナトラ、マレーネ・ディートリッヒ、バスター・キートンなどがカメオ出演している、アカデミー賞5部門に輝く、映画史上に残る若手監督マイケル・アンダーソンによるエンターテインメント作品です。
いやー、ほーんと華やかな映画。
世界の国々の華やかなダンスや衣装に酔いしれつつ、西部劇のようなアクションからクスっと笑えるコメディーまでお話としても魅せる内容で。
主人公に共感して、どうなるんだろ?? とハラハラしながら見る映画ではなくて、まさに世界旅行をしているかのようなゆったりした気持ちで見ることができます。
それにしてもすごい数の出演者なんですよ。
ハリウッドでこれまでに行われた単一の映画としては最大のプロジェクトと言われているこの作品。
撮影は75日。
キャストとクルーは400万マイル以上飛行し、キャストには13か国で68,894のエキストラが含まれ、74,685の衣装が映画のためにデザイン、製作、またはレンタルされたそう。
動物だけでも8,552頭の動物が出演(3,800頭の羊、2,448頭の水牛、950頭のロバ、800頭の馬、512頭の猿、17頭の雄牛、15頭の象、6頭のスカンク、4頭のダチョウ)。
また多くのスターがちょっとした役で特別出演していることでも知られ、この映画から「カメオ出演」という言葉が生まれました。
音楽も旅行系バラエティー番組のBGMで流れている一度は聞いたことのある名曲がこの映画の曲だったんだとびっくり。
気づきとしては、セットの部屋の角度が舞台みたいに配置してあります。
部屋の隅の角度が90度じゃなくて、135度くらい広げてある。
それによって不思議な空間が出来上がっていて、「強制遠近法」のようなだまし絵みたいな錯覚を起こすんです。
衣装やセットの配色もバランスが良くておしゃれ。
「ゴールデンアワー」と呼ばれる夕日のシーンが海、山、荒野など何度も登場し、自然の美しさも満喫できる。
旅行系映画ですが、気球やちょっと現実離れした異空間のようなセットによって、本当に旅をして帰ってきた感じとはまた違った、ふわっとした心地がしています。
特筆すべきは、エンド・クレジット。
それまで映画は、オープニングにクレジットが入り、誰が出演しているかというのが分かるようになっていたのですが、この映画ではオープニング・クレジットはなく、映画の最後にエンド・クレジットで誰が出ているのか分かるようにしたという、当時としては画期的なことをやっているんですよね。
カメオ出演のネタバレ禁止っていうことで。
それとエンド・クレジットは、グラフィック・デザイナーのソール・バスが手掛けていて、6分のアニメーションになっています。
豪華絢爛な映画ではありますが、非常に軽やかな印象を受けるのは、ソール・バスのデザインの影響も大きい気が。
原色を用いた直観的な色使いで象徴的にデザインされていて、目に入った途端、絵本を見ているような分かりやすさがあるんです。
エンドロールにそういったアニメーションを用いることによって、映画全体がさらにポップな印象を受ける。
映画を見終わったあとに、楽しい気分で映画館を出ることができるような心理的な仕掛けとなっていて、ある意味トータルでデザインされていて斬新だなと思いました。
あー、海外旅行行きたい。
でもまだ飛行機が…ビザが…という今見ると、いい気分になれる映画ですね!
↓予告編
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