カトリーヌの「朝1日1映画」

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『愚か者のブルース』(2022年 日本)横山雄二監督舞台挨拶+上映

「男は女の過去を見て、女は男の未来を見る。」(映画より)
サプライズの横山雄二監督舞台挨拶レポート&感想

今日の1日1映画は『愚か者のブルース』(2022年 日本)を鑑賞。

30年前に伝説の映画を生んだ監督・大根(おおね)(加藤雅也)。

今ではすっかり過去の人となり、ピンサロ嬢タマコ(熊切あさ美)のヒモに落ちぶれて空虚な日々を過ごしていた。

そんなある日、タマコの昔の恋人(仁科貴)が現れ、大根とタマコは大学時代の後輩が館長(横山雄二)を務める広島のストリップ劇場に逃げ込む。

2人は劇場の楽屋に住み込むことになり、館長や歓楽街の仲間たちは彼らを温かく迎え入れるが…。

『浮気なストリッパー』『彼女は夢で踊る』に続いて、横山雄二監督がストリップ劇場を題材に描いたヒューマンドラマです。

監督は、広島では知らない人はいないくらい人気のRCC中国放送アナウンサー横山雄二さん。

その横山さんが脚本・監督した、広島オールロケの作品です。

7/29から広島・横川シネマで先行上映中で、11/18から全国公開となります。

劇場に行ったら横山監督がラジオを終えて劇場にサプライズで舞台挨拶にいらしていて。

パンフレットへのサインの列ができていて大賑わい!

感想の前に、まず横山監督の舞台挨拶の方から紹介しますね
(上映前の舞台挨拶なので、ネタバレはほぼありません)。

(↑舞台挨拶をする横山雄二監督。以下、横山監督の舞台挨拶のお話をまとめました)

●作品を撮るきっかけ

僕のプロデュース作品『彼女は夢で踊る』(2019年 時川英之監督)の際、ここ横川シネマで全国で一番最初に上映をスタートさせていただきました。

その舞台挨拶で出会わせていただた主演の加藤雅也さんから、舞台挨拶が終わる時に「もう1本撮ろう」と。

「横山さんがストリップ劇場の館長をやって、僕がヒモの役をやろう」って言って声をかけていただいて。

僕はぶっちゃけて言うと、お金も集めなきゃいけないし、脚本も書かなきゃいけないし、キャスティングもしなきゃいけないし、演出も考えなきゃいけない。

毎朝RCCラジオ「ごぜん様さま」の出演があったりするので無理なんじゃないかなとずっと逃げ続ていたんです。

「そう簡単にはいきませんよねぇ」って言ってたんですけど、真綿で首を締めるかのごとく、「横山さん、やるよね?」「やるよね?」って。

電話かけて「いいアイデアがあるんで、ちょっとメモれる?」って「メモれますよ」って。こうでこうで…というのが何日も続くわけですよ。

そのうち、これは本当にやんなきゃいけないなと思って、じゃあやるんだったら、『彼女は夢で踊る』がとても評価の高い作品だったので、「あれを超えるものを作りましょう!」と考えたのが、この『愚か者のブルース』っていう話です。


●出演者について

加藤雅也さんと熊切あさ美さんが本当に熱演をしてくださっています。

そのほかにも、のっち(デンジャラス)は映画初出演なんですけど、とってもいい味を出してくれていて。

ご覧になる前にあんまり言うとネタバレになっちゃうんですけど、今回ストリッパー役をやっている人は、佐々木心音さん小原春香さんという2人がいます。

小原春香さんは、ちょっと小悪魔的な可愛らしい子の方で、元AKB48です。

佐々木心音さんは女優さんで、2012年に石井隆さんという日本の名匠監督が『フィギアなあなた』という作品で佐々木心音さんを新人で大抜擢していて、それを僕が映画館でたまたま見て、もうすごいファンになって。

どこかのタイミングで絶対佐々木心音さんと一緒に仕事がしたいと思って、今回一本釣りみたいにオファーをかけました。
ストリッパー役のお2人は女優さんです。

Live Cafe Jiveのシーンではマスターとママがいます。
マスターは藤江潤士さん。「ごぜん様さま」の僕らの仲間でミュージシャンです。

ママ役に矢沢ようこさんという女優さんがいらっしゃいます。
この方は本業がストリッパーさんです。だけど脱ぎません(笑)。ストリッパーの方が脱がずに、女優さんが脱ぐ。なぜなら矢沢さんがその舞台の演出をしていますということですね。振付とかを考えてくださって、現場監督をやってくださっている。

あと注目すべきは、熊切さんの前の男、その人は川谷拓三さんの息子さんです。仁科貴(にしなたかし)さんとおっしゃって、お父さんも『仁義なき戦い』で広島で映画に出ているので、広島の映画に参加できるのがうれしいと、めちゃくちゃ前のめりで参加していただいて。

あとはピンク・レディー未唯mieさん。39年ぶりに映画出演なので、僕らも演出するとき「うわ、ピンクレディーじゃわー!」「すげー、ミーだっけ? ケイだっけ? ミー! ミー!」みたいな撮影をさせていただいて。

あとは筒井真理子さん。日本映画の女優の中ではトップオブトップです。筒井真理子が出ていると絶対にいい作品って言われるんです。
なぜならば、脚本を読む力があるからと言われていて、筒井さんは自分がつまらないとか合わないとか思った脚本には出ないので。
筒井さんが出ている作品の評価が高いというのは、脚本をしっかり選別しながら出られるということがあるので、今回僕らも筒井真理子さんが出ていただけたということは脚本が面白いんだ、と自信を持って撮影できたところがあります。

あと、横山雄二さんという俳優さんが出ます。思いのほか良いです(笑)。今日は舞台挨拶が(みなさんが映画を)見る前なので、見たあとにお話をさせていただけたらよかったなと思うんですけど、見終わったあとに、横山さんに聞きたいことがたくさんあるなーと思うくらい、まあまあ出てます。

●内容&映画の思い

前半エロいです。ちょっと覚悟して見てくださいね。
女性の方の方がある意味「面白かったです」とか「感動しました」とか言っていただける率が高かったりするので、前半のエロいところが「あなたの知らない世界」みたいな状況らしいんです。

僕は映画というものは1,800円払って劇場に入っていただくので、やっぱり「おもてなし」だなと思っていて、知らない世界だったり、なかなかテレビとかでは見られない世界が見られるから、お金を払って見る価値があるんじゃないかと思っています。

今回おっぱいがいっぱい出てきます。僕は映画おっぱいを撮ることと、自分が監督した作品におっぱいがいっぱい出るということがある意味夢だったんですね。それは僕が中学生・高校生の時に見ていた大好きな作品にはおっぱいがいっぱい出ていたからということがあるので、前半は“おっぱい祭り”みたいになっていますけど、気にせず見ていただくと、後半からぐっと引き締まった作品になっていると思うので、楽しんでいっていただければと思います。

上映時間94分。きっと飽きさせることはないと思って作らせていただいたし、皆さんに何か届くんじゃないかなと思って作品を作らせていただきました。

街の映画です。街に住まう人たちの映画で、みんなどこか欠けているけど、みんなで集まることでコミュニティーができている。
流川・薬研堀の話で、そこに加藤雅也がやってくるというストーリー。

きっとまさかこんな作品になっているとは思わなかったという流れになっていると思うので最後までゆっくり楽しんでください。

ご覧になった方はハッシュタグ「#愚か者のブルース」で感想を書いていただくか、明日のごぜんさま様にメッセージを書いていただけるといろんなお話ができるんじゃないかなと思います。


横山監督の舞台挨拶は以上です。

ここから、見終わった後の私の感想を少々。

(ストーリーのネタバレは書きませんが、知りたくないことが書いてある場合があるかもしれないので、見る予定がある方はご注意ください)

うん、いい映画です。

涙がツーッと流れました。

意外にも、佐々木心音さんが演じるストリップのシーンの美しさと音楽に。

あのシーンだけで辛い事や苦しい事を浄化させる力があって、見ていて心が癒える。

第一劇場の閉館により生のストリップは観れずじまいでしたが、あの空間には独特の空気があって、それらが映画にも映りこんでいて。

女性が女性を見てもこれだけ心が動くんだから、男性が見るともっとすごい心の動きがあるのかなと想像します。

あとはセリフがカッコイイ。

横山監督はアナウンサーの方だけに、言葉へのこだわりを感じるんですが、ものすごいいいセリフがたくさんあるんですよ。

ある意味、映画でしか聞けないセリフを集めました!ぐらい映画的で、普段は絶対言わないような言葉の数々。

でも決してキザではなく、泥臭くて愛おしい。

意外なのは、広島弁がほぼ出てこない。

広島が舞台でなじみの風景なのにも関わらず、言葉はみんな標準語なので“ド広島感”はなく、洗練されているんですよね。

最後に、横山雄二さんの存在感。

これは、ジャッキー・チェン監督作品に出ているジャッキー・チェンが、どの映画を見ても役よりもジャッキー・チェン本人の強さが勝ってしまうように(北野武監督作品の俳優・北野武や、キムタクはどの作品を見てもキムタクも同様)、ストリップ劇場の館長ではなく、横山雄二さんにしか見えないんです。

でもこれ、もうスターの存在感なんですよね。

たぶん、広島の人はみんな映画を見ながら「アナウンサーの横山雄二さん」を見ているんじゃないかな。

広島の人にとってはそれで正解で、他の地域の人が見るとどう見えるのかっていうのは興味あります。

80年代を意識した“ダサかっこよさ”、それをズドーンと落とす皮肉の利いたシナリオ。

あの角川春樹さんに「本年度の邦画の中でも、一番こころに響いた作品。映画としても、一部の小説としても十分に成立するドラマだ」と言わしめた作品。

ぜひ、劇場でどうぞ。

 

上映予定
7月29日(金)~8月25日(木) 横川シネマ
8月26日(金)~9月22日(木) 福山駅前シネマモード
9月9日(金)~@ 呉ポポロシアター
11月18日(金)より池袋シネマ・ロサほか全国順次公開

7月29日(金)、広島JMSアステールプラザ中ホールで開催された特別上映会イベントにも行きました。
キャストは熊切あさ美さん、佐々木心音さん、小原春香さん、矢沢ようこさんが登壇。
音楽を担当したYASSさん、メビウスさんなどのライブも。
スタッフ&キャストの皆さん、泣きながらライブを聞いていらして。
知らないうちに涙が流れる。そういう映画です。

映画公式サイト↓

 

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