カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『お遊さま』(1951年 日本)

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田中絹代乙羽信子らによる「禁じられた愛」
耽美なのに力強い、溝口健二監督の表現

今朝の1日1映画は『お遊さま』(1951年 日本)を鑑賞。

小曽部の家から金満家粥川へ嫁入って間もなく夫に別れたお遊さま(田中絹代)。

一人子一の養育のかたわら、贅沢と遊芸三昧に憂さを晴らしていた。

一番仲のよい妹お静(乙羽信子)が芹橋慎之助(堀雄二)と見合いをするのに付き添って行くが、慎之助はお静よりもこのお遊さまに深く心をひかれ…。

細雪」などで著名な谷崎潤一郎文学を、京都を舞台に溝口健二監督が映画化した作品です。

1人の男を姉妹が…という、ザ・三角関係です。

だけど、ドロドロせずに美しく、推進力がある。

未亡人の姉を好きになってしまいつつもその妹と結婚しなければならない男。

夫を失うも、跡取り息子を育てないといけない未亡人の姉。

姉の本心を知りつつも、見合い相手の男性と姉の気持ちの間で揺れ動く妹。

社会的体裁を重んじ、自己犠牲や受動的な生き方を選択しなければならない時代、その内心の沸々とした葛藤を、役者の動きで最大限表現している演出がもーのすごい効いている。

耐え忍ぶ日本人の精神性が画面を通して静かに伝わってくるんですよね。

特にそれが顕著なのがカメラが人物をどこまでも追うクレーンによるトラッキングショット。

例えば、AさんがBさんに気持ちを打ち明けるシーン。

BさんはAさんの気持ちを受け入れたいけど社会的体制が許さない。

そういう部分で、BさんはAさんに背を向ける→少し逃げる→AさんはBさんを追う→BさんはAさんに背を向ける→少し逃げる…。

というのを家の1部屋の中で、または2部屋を移動しながら、外では手前から奥に移動しながら…と役者は動き、カメラはクレーンでずーっと追うという。

長回しによって、リアルタイムの感情の変化を感じ取ることができるのと、「じらし」のようなやりとりを見ることによって、観客にも葛藤がたまってくる。

それが「この先どうなるんだろう?」と見進める推進力となっている気がします。

で、ラスト近くにドバドバドバーッと妹・お静に展開があり…。

田中絹代(42歳)と乙羽信子(27歳)の共演作品ですが、乙羽さんがほーんとに可愛らしい。

そんな乙羽さんの本心の吐露っていうのが見どころです。

田中絹代さんは内心でニヤリとするシーンが鳥肌立ちました。

京都のはんなりとした言葉と、感情を盛り上げるオペラのような音楽、豪華な衣装、京都を家屋を忠実に再現したセットが映画の雰囲気を作り上げている。

日本の精神性や美しさが詰まった作品です。

↓予告編

mubi.com

 
 

溝口健二監督作品はこれらも見ました↓

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