『処刑の部屋』(1956年 日本)
原作:石原慎太郎×監督:市川崑
探検隊川口浩の初主演作品。
今朝の1日1映画は『処刑の部屋』(1956年 日本)を鑑賞。
島田克巳はU大学の4年生。
気難しい銀行員の父と常に顔色をうかがっている母にやりきれなさを感じていた。
大学野球リーグ戦でU大学が優勝した夜、歓喜と熱狂のさなか、克巳と友人の伊藤はその夜知り合った女子学生のビールに睡眠薬を忍ばせた……。
石原慎太郎の短編小説市川崑監督により映画化した若者たちの暴力と性を描く青春映画です。
水曜スペシャルの探検隊で有名な川口浩さんが若い時は大スターだったっていうことを最近知ったんですが、こんな感じだったのねーと興味深々で見ました。
当時20歳の姿は、あどけない子供っぽさがあって、カッコいいというよりキュートな魅力が。
この作品がヒットし、大映現代劇の若手二枚目トップスターとして多くの映画に主演する売れっ子になっていきます。
相手役の若尾文子は23歳でほーーーーーーーんとに美しい。
クローズアップでとらえる彼女の苦悩や決意の表情は忘れられません。
若尾文子さんは、広島市現代美術館を設計した黒川紀章の奥様と思うと、なんだか銀幕の大スターが身近に感じますね。
内容は、大学生が派手に犯罪ギリギリのところ(ギリギリではなく犯罪かな?)をいろいろやらかす話で、その背景となるのが厳格な父親という家族関係なんですが、父親は体が弱いし、母親も波風を起こしたくなくて当たらず触らずで、何かがちょっと弱い。
その“弱さ”が、愛情の薄さとなっているのか、彼の人間形成に何か芯のようなものを作りれなくて、ストレスになっているような感じを受けます。
その矛先が周りの仲間や敵対する学生や、女学生に対する行為ではあるんですが、先日見た大島渚監督『青春残酷物語』のような分かりやすさはなくて、もっと混とんとしている。
文学を映画に適応させるというのは、市川崑の一つのテーマですが、この作品は原作を映画化するにあたって結構変更しているようで、石原さんもあれれ?と思ったようですね。
原作はもっと大学生同士の人間関係が細かく書いてあるようですが、ローアングルや斜め構図などを用い、ジャズをフィーチャーしたスタイリッシュさがあり、これはこれで印象に残ります。
薬物のシーン理由にR18指定を受けていて、実際この映画の公開後に、模倣した犯罪が増えたようで、当時はかなりの影響があったよう。
確かに気持ちのいい場面ではないですが、それがラストの、これも非常に印象的な忘れられないシーンにつながってはいるので何とも…。
表現って難しいですね…。
今後、若尾文子さんの作品も見てみたくなりました。
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