カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『青春残酷物語』(1960年 日本)

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画像:リンクより

体中で世の中とぶつかる若者を描いた
大島渚監督・脚本の青春映画。

今朝の1日1映画は『青春残酷物語』(1960年 日本)を鑑賞。

女子高生の真琴(桑野みゆき)と陽子は、街へ遊びにでた帰りには、車を持つ男たちに誘いをかけて家まで送らせていた。

しかし、この日、真琴は外車に乗る中年男にホテルへ連れ込まれそうになった。

そこへ大学生/清が(川津祐介)現われ、中年男を殴り倒し、真琴を助けた。それから、真琴と清の関係が始まる…。

“松竹ヌーヴェルヴァーグ"の始まりを告げる、巨匠・大島渚監督・脚本の鮮烈な青春映画です。

いやー、すんごいですね。

見終わってどんより。

後味悪いけど、強烈な印象を残す。

テーマも深い。

ジャンルはぜんぜん違うけど、ゾンビ映画『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』を見終わった時と同じ感覚です。

若い時は、体力(エネルギー)はあるけど、お金や知恵はない。

歳を重ねると、体力(エネルギー)はないけど、お金と知恵はある。

昨日見た『勝利者』もそんな対比が面白かったですが、この映画は若さゆえの好奇心や未来を予測できない不器用さが暴力的な描写とともに鮮烈に描かれていて、中年の男や女も対比的に出てくる。

どこへ行くのか、行く当ても分からない若い2人の危なっかしさを、ハンドヘルドカメラとロケ撮影を用い、衣装や小道具を赤と青のカラーでデザインしながら、シーンがバサバサ途切れるジャンプカットのような編集でグラグラと映し出しています。

冒頭で、韓国の学生運動の実写フィルムや日本の学生運動のデモ行進のシーンなどが挿入され、当時の若者の集団のエネルギーは国や政府に向かっていた時代だったんだなあと記録映画的な見方もできる。

また戦後の高度成長期に青春を過ごす自由奔放な主人公・真琴(桑野みゆき)と、終戦直後に青春を過ごしたお堅い姉の由紀(久我美子)の恋愛感覚の違いも対比的に描かれていて、急激な時代の変化に戸惑う若者の様子というのも見てとれます。

桑野みゆき当時18歳、川津祐介当時25歳。

先日見た『人間の條件 第3部・第4部』で見た川津祐介さんは、実直な兵士の役で、それも印象に残ったんですが、こちらは悪い奴。

暴力的で女性を物のように扱うし(女性のアクションが激しくて心配になるほど)、いい所はそんなにないんですが、川津さんのソフトな表情が、ふとした瞬間優しさを感じさせられ、目の前の事実に対してどう生きるべきか内心グラグラ揺れてる感じが見える演技をされるんですよね。

今年2月に亡くなられましたが、印象に残る俳優さんです。

この映画、多分のちの映画監督に多大な影響を与えてると思うんですが、パッと見ただけでも素人ながら、あ、このシーン、あの監督の作品にも似たシーンがある!と思うシーンがたくさんありまして。

例えば、貯木場のシーン。

石井隆監督の『死んでもいい』に船の係留場のシーンで似た感じがある気がします。

バイクで海に突っ込むシーンは、神代辰巳監督の『恋人たちは濡れた』の有名なシーンに似た感じが。

車から落とされるシーンは、キム・ギドク監督の『ピエタ』の印象的なシーンのようにも感じます。

ゴダールの『勝手にしやがれ』も同じ1960年制作。

似た感じだけどもっといろんな要素が詰め込まれていてインパクトが強い。

この先ずーーーっと記憶に残る映画に出会ってしまいました。

↓予告編

 
 

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