『人間魚雷出撃す』(1956年 日本)
「今の日本はこんなことで救われるのでしょうか」(映画より)
石原裕次郎、長門裕之らが回天特攻に乗り込む。
今朝の1日1映画は『人間魚雷出撃す』(1956年 日本)を鑑賞。
昭和20年7月初旬、すでに敗戦の色濃い頃。
瀬戸内海の特別基地で若き“回天”特攻隊員たちは出撃に備えて連日猛特訓を行っていた。
そして出撃を控えた彼らは故郷へと帰っていった。
その中の一人、黒崎中尉(石原裕次郎)は、空襲で両親を失い、身寄りは兄だけになってしまった妹・洋子(芦川いづみ)と最後の別れを惜しむのだった…。
『太陽の季節』の古川卓己監督、石原裕次郎主演による潜水艦伊号の活躍を描いた海戦映画です。
爆弾を積んだ魚雷を操縦し敵の艦隊に突っ込む、いわゆる海の特攻隊ですよね。。
それだけで辛いんですが、ハチマキを結び一点を見つめて仲間の、そして自らの死を受け入れる。
ヒロポンは打たないんですけど、ウイスキーをあおって出撃です。
昔、江田島にある海上自衛隊第1術科学校 (旧海軍兵学校)の教育参考館や靖國神社遊就館を見学したことがあって、特攻の人たちの遺書や遺品でリアルに見ているだけに、きっとこの映画のような光景があったんだろうなと思うと胸が締め付けられる思いです。
主役は黒崎中尉(石原裕次郎)なんですが、個人的には助演の今西一曹役の長門裕之の演技にグッときますね。
裕次郎さんってふわっと明るい若者の雰囲気があるんですが、長門裕之さんって、芝居がしなやかなのに強さがあって、一言で言うと上手い。
『破戒』の主人公を支える友人役では映画冒頭とラストで変化のある役どころでしたが、非常に引きつけられる納得感のある演技をされていてたのが印象的で。
この映画では弟役ですごく似た人がキャスティングされていて、誰だろうと思ったら、実際の弟である津川雅彦さんでした。
晩年の津川さんのイメージが強くて、兄弟で似ていない気がしていたんですが、若い時は横顔の輪郭がそっくりで似てますね。
ほぼ潜水艦の中で話が展開するんですが、このセットが本物と見間違わんばかりの精巧な作り!(マニアではないのでぱっと見ですが)
油圧で上がるような機械とか、メーターとか、ほんとの船内のようで見ごたえがあります。
変に感情をあおったり涙を誘ったりではなく、戦争がもたらす悲劇をリアルで静かに描いた作品。
忘れてはいけない記憶ですね。
PS:音声の状態が悪いのか、全体的にセリフが聞き取りづらいです。ヘットフォンでの鑑賞がいいかもです。
↓予告編
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