カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『激怒』(1936年 アメリカ)

By Illustrator unknown. Distributed by Link

正義を楯に衆愚と化す民衆の恐ろしさ

今朝の1日1映画は『激怒』(1936年 アメリカ)を鑑賞。

婚約者に会いに行く途中、誘拐犯に間違えられ、拘留されてしまった男。

暴徒化した市民によって留置場が全焼する中、彼はかろうじて逃げ出すのだが……。

名匠フリッツ・ラング監督の初期作品となった、スペンサー・トレイシー主演による社会派ドラマです。

これは見ごたえのあるドラマですねー。

人間のあらゆる感情が各エピソードの変化点となって、どんどんスクリューしながら進む感じ。

前半はラブロマンスのワクワク感から一気に留置場での不安感に、一方「やっちゃれー」というノリで怒り狂う民衆、後半は失意の恋人、誤認逮捕の復讐という内面から沸き起こる怒り…。

自然な感じで状況説明を入れ込み、小さな噂を口コミや新聞やラジオ、ニュース映像などのマスコミを使って拡散、大きな渦が生まれ、群衆がとてつもない力を持って動くという、今(SNSなど)も昔も変わらない、情報に「踊らされる」様子とそれによって引き起こされる被害、さらに何か真実なのかまでをテンポよく描いています。

小さなきっかけが大きな暴動になる映画と言えば、セルゲイ・エイゼンシュテイン監督の『戦艦ポチョムキン』やスパイク・リー監督の『ドゥ・ザ・ライト・シング』など数々思い出されますが、1930年代にすでにフリッツ・ラング監督がこんな名作を撮っていたとは!

後半は静かな法廷劇にもなっていて、前半の騒がしい暴動と対比的に描いてあります。

また、あらゆる小道具や出来事が伏線になっていて、それらを回収していく様も見事。

何が正しいのかは誰から見るかで全く違ってくることや、物事が一面的でなく多面的で、一面を見ただけでは善悪や白黒の判断はできないことがよく分かります。

こういう映画を見ると、あらゆる事柄を判断をする場合に、決めつけとか物の見方とかについて慎重にならないとと思わされますね。

PS:主人公が飼っているテリア犬がところどころに出てきて、本当に癒されるんですが、同じ犬種の数頭が演じていて、そのうちの1匹はなんと『オズの魔法使』に出てくるテリア犬「トト」が演じているそうです。かわいいはずですね♪

↓予告編

 
 

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