カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『大魔神』(1966年 日本)

Daiei Film Co. Ltd. (大映映画株式會社 Daiei Eiga Kabushiki-gaisha), © 1966 - リンクによる

ブルーバック合成の特撮技法を日本で初めて試みた本作。
作り手の情熱が画面から伝わってきます。

今朝の1日1映画は『大魔神』(1968年 日本)を鑑賞。

戦国の世、丹波の国で謀反が起こった。

前主を弑した左馬之助は、過酷な労役を領民に課し、さらには村の守り神たる魔神像をも破壊しようとした。

だが、額にくいを打ち込んだ途端、突如として山崩れが起こり、作業にあたっていた人足たちは土砂に呑み込まれてしまう。

左馬之助は魔神像の破壊をあきらめたが、前主の係累に対する追及はやめなかった。

忠文の妹・小笹は、唯一の心の拠り所、魔神像に助けを求めるのだったが……。

高田美和、青山良彦藤巻潤、五味龍太郎、橋本力主演で、吉田哲郎脚本・安田公義監督・森田富士郎撮影。

ユダヤの伝説「巨人ゴーレム」にヒントを得て戦国時代劇に特撮を見事に融合させた歴史的名作です。

この超有名作品を初鑑賞。

時代劇+特撮というコラボ作品ということで、1粒で2度美味しい映画ですね。

特撮がすごいと語られすぎている名作ですが、個人的に特撮以外の部分もすごいと感じます。

まず、子供向けではなく、大人でも十分楽しめる構成。

主軸は「悪い人に追われる」「大魔神に追われる」という「悪い奴から逃げろ!」で、非常に分かりやすいので子供でも楽しめるんですが、時代劇として、権力に民衆が虐げられる図式があって、困った民衆を助ける存在としての大魔神という部分が、水戸黄門のような一種のカタルシスになってくれるんですよね。

そして撮影アングルの多様さ。

大魔神のスケールの大きさを人間と対比するために、ローアングル、ハイアングル
、ロングショットを用いてその巨大さや偉大さを表現されています。

キング・コング』でも同じことを感じました。

ドラマ部分も奥行きのあるショット(手前と奥、どちらにもピントが合っているので、スプリットジオプターを使っているのかも)、ハイアングル+ローアングルで変化のあるカットつなぎ、カメラと対象人物の間に物を入れ込む○○越しのショット、炎のシーンの次に火が出てくるシーンという関連のあるカットつなぎ、主人公の視点ショット、ホイップズームなど多彩。

キャストは、悪役は眉毛が吊り上がり、顔がテカテカ光っているという分かりやすさも。

大魔神も怒りの表情も分かりやすいです。

伊福部昭の音楽も、全面に押し出すのではなく、欲しいところだけにミニマムに付けてある感じが絶妙。

雷雨や暴風、建物の倒壊する模様なども、非常にリアリティーが追求してあって、美術さんのこだわりも感じます。

ブルーバック合成の特撮技法を日本で初めて試みたという特撮部分は、本当に工夫がたくさんあって、カメラの後ろ側で操作しているスタッフの姿を想像しながら見ていて、その努力にも感動。

当時、どんな人が見て、どれくらいの盛り上がりがあったのか知らないのですが、今見ても画面からこの映画を作り上げている人の情熱を感じ取ることができる“熱い”映画です。

↓予告編

 
 

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