『ブルー・ガーディニア』(1953年 アメリカ)
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ナット・キング・コールも登場!
明るく小粋なサスペンス
今朝の1日1映画は『ブルー・ガーディニア』(1953年 アメリカ)を鑑賞。
誕生日の日に恋人から別れを告げられたノーラ(アン・バクスター)は、画家のハリー(レイモンド・バー)の誘いに乗って食事に出掛け、部屋に立ち寄るのだが、翌日、彼は死体で発見される。
犯人と疑われた彼女は、著名な新聞記者(リチャード・コンテ)に助けを求めるのだが…。
ナット・キング・コールの歌う主題歌が評判になったフリッツ・ラング監督の日本劇場未公開サスペンス作品です。
ほほう、これは素敵で小粋な映画ですね。
ノワール・サスペンスと聞いて構えてたんですが、全編にわたってメロドラマとしての要素が強く、「犯人を捜せ!」ではなく「ばれたらヤバイ!」の方向で、主人公の女性の気持ちになれ、観ながらドキドキ!
全編にわたってウイットに富んだ会話が楽しく、皮肉を含んだ「前振り+本題」「本題+オチ」みたいな小洒落た雰囲気がありますね。
主人公のルームシェアをしている女友達同士の会話なんて気ごころ知れた仲間じゃないと話せない内容で。
中盤からいろんな伏線がカギとなったサスペンスの様相に。
キーとなる物として鏡、花、歌、レコード、絵、ハンカチ、タフェタ(ドレス)といろんなものが登場。
各シーンに華やなさがあって、ナット・キング・コールご本人の登場はお宝級です。
歌やレコードがキーとなっている映画というと『シー・オブ・ラブ』『危険な情事』を思い出すんですが、匂わせとしての雰囲気が抜群。
編集は見せたいシーンをとことん見せて、見せなくても分かるシーンは大胆に省略。
ミニマムな編集によってテンポよく仕上がっています。
これは自主映画にも使える技ですなぁ(警察署や裁判所が映ってないのに成立している!)。
ラストの含みのある終わり方もよいです。
カメラワークは室内クレーンが多く、スムーズ。
フリッツ・ラング監督と撮影監督のニコラス・ムスラカは、この映画でクローズアップを可能にする革新的なカメラ用台車を開発。
グイーーンと寄るアップショットで俳優の親密さをとらえています。
二重イメージ、目線カメラなども効果的。
この『ブルー・ガーディニア』(青いクチナシ)というタイトルは、公開当時「ブラックダリア事件」というセンセーショナルな猟奇的殺人事件がアメリカを震撼させていて、それを皮肉って注目させるために付けられたそう。
また映画には、恋人が朝鮮戦争に行っているとか、水爆実験の取材に行けと命令されたり…などが出てきて、結構当時の社会や世相を反映。
歴史の出来事が我が事のようにリアルに感じます。
こういう日本未公開だけど良作ってあるんですね。
また一ついい映画を発見しました。
↓ナット・キング・コールのシーン