『ゲッタウェイ』(1972年 アメリカ)
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クライムアクション+男女の心模様を描く
今朝の1日1映画は『ゲッタウェイ』(1972年 アメリカ)を鑑賞。
服役中の銀行強盗のドク・マッコイは、妻に政治家と裏取引させ、予定より早く出所する。
取引の条件は銀行を襲撃すること。
出所後、体よく銀行強盗を成功させたマッコイたちだったが、予想だにしなかった裏切りの連鎖がマッコイを襲う…。
ジム・トンプソンの原作小説を、スティーブ・マックィーン、アリ・マッグローの二大スター共演で鬼才サム・ペキンパーが映画化したクライムサスペンスです。
銃撃戦、カースタントなどのアクションシーン満載。
現金強奪をめぐっての取引など複雑なサスペンスもうまく入れ込んであって見ごたえがありますね。
個人的にはその中で描かれるお話として、夫婦や男女間の人間ドラマとしてのラインがあって、そっちが結構グッとくるものが。
愛を取るのか、お金を取るのかで信頼関係がグラグラする部分とかね。
夫が刑務所に入っていた時の妻の行動や、追手の男に子猫のようにまとわりつく医者の妻など、犯罪者の男女の様子がダブルで描かれ、対比できるようになっています。
編集の仕方が面白くて、フラッシュバックのように過去のエピソード入れ込んであって時間軸が前後する部分や、各エピソードで別の場所で同時に行っている似たような行動をとっているカットをカットバックでつないである。
主人公が食べてるシーンと主人公の追い手が食べてるシーン、車のタイヤのキーキー音と赤ちゃんのギャーギャー泣く声が交互につながれていて。
そういう関連カットによって、各登場人物がどういう状況にあるかというのも対比できるようになっています。
また小道具によるメタファー(隠喩)も多く、銃が男性、子猫は女性など、その雰囲気を伝える作りになっているんですよね。
銃撃戦ではスローモーションが多用されより印象的に。
それにしてもこの主役のスティーブ・マックイーン(177cm)&アリ・マッグロー(177cm)の画になること!
ロングショットで2人が歩くシーンは、場所がゴミ集積場にも関わらず、ランウェイを歩くモデルのようで、本当に美しいです。
音楽は当初の予定とは違うんですがクインシー・ジョーンズが担当。
派手なアクションシーンには音楽を付けず、夫婦のシーンや追われる不安なシーンなどに着けられていて控えめなんですが、これも好印象。
メリハリがあって、音楽によっても見せたいものが何なのかをちゃんとわきまえている感じがあります。
クライム映画ではありますが、じんわり心に残る作品ですね。
↓予告編