カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『ひまわり』(1970年 イタリア)

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ウクライナで撮影されたひまわり畑が圧倒的な
戦争に引き裂かれた男女のドラマの名作

今朝の1日1映画は『ひまわり』(1970年 イタリア)を鑑賞。

第2次世界大戦下、ミラノに住むジョバンナ(ソフィア・ローレン)は、ロシア前線で行方不明になった夫アントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)の死を拒否。

幸せだった12日の休暇、結婚、戦地への別れなどを思い出しながら過ごし、終戦後数年たってもも戻らない夫の行方を追ってジョバンナはソ連へ向かい、写真を持ち歩き探し出すことにする…。

第2次世界大戦によって引き裂かれた男女の悲しい愛の物語を、名匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督がイタリアのを代表する俳優ソフィア・ローレンマルチェロ・マストロヤンニ主演で情感豊かに描き出した作品です。

ウクライナのポルタヴァで撮影された最初の西部劇映画撮影という本作ですが、冒頭、エンディングを飾るひまわり畑のシーンが圧倒的。

太陽に向けて咲くその1本1本に戦死した兵士の魂を引き継いでいるかのような表情がある名シーンですね。

映画としてはフランス映画『シェルブールの雨傘』(1964)同様、戦争によって運命が引き裂かれる男女の切ない気持ちを余すことなく表現してあるのですが、フランス映画が小粋なのに対して、このイタリア映画は描写がドラマチック。

まず印象としてイタリア語って掛け合い漫才かってくらいものすごい早口で、ゆったりした愛の表現より、テンポが良いので個人的にはコミカルなシーンがすごく映えるなあと思うんですが、前半の2人の暮らしぶりの中で、3つぐらい笑えるシーンが盛り込んであり、非常に軽やか。

その後悲劇の“影”がやってきます。

技法としては、ヘンリー・マンシーニが手掛けた情感あふれるテーマ曲が映画の見どころを盛り上げていて、かなり音楽の役割が大きいのと、ズームを多用してある点も見逃せない。

お話のターニングポイントとなる点では、「ここ、見せ場ですよ」と分かりやすくホイップズームが使われ集中線のような役割を持たせているのと、反面、広大なひまわり畑、墓地、ソ連に到着したシーンなどではズームアウト(クレーン)による状況説明でアッと言わせる場面を展開させていて。

その他感情を表すような天候(劇的な場面での雨嵐)やディゾルブ(二重映し)による象徴的なイメージ使いも劇的で、伏線もたくさんあって楽しめます。

それにしてもあんなに薄眉の似合う女優はソフィア・ローレン以外いないのではというくらい。

劇中のメイクの変化も見ものです。

またウクライナで映画が撮影できる日が来るといいですね。

PS:ヘンリー・マンシーニの手掛けたこの映画のテーマ曲ですが、ダルシマー?(鉄琴のような音)の使い方といい大野雄二作曲の『犬神家の一族』(1976)のテーマ曲に似てますよね。
現在八丁座でも「ひまわり 50周年HDレストア版」を上映中です。

↓予告編

 
 

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