『インセプション』(2010年 アメリカ)
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これぞ“ムービー・マジック”。
他人の夢に入り込む産業スパイアクション。
今朝の1日1映画は「インセプション」(2010年 アメリカ)を鑑賞。
人が眠っている間にその潜在意識に侵入し、他人のアイデアを盗みだすという犯罪分野のスペシャリストのコブ(レオナルド・ディカプリオ)。
その才能ゆえに最愛の者を失い、国際指名手配犯となってしまう。
そんな彼に、人生を取り戻す唯一のチャンス「インセプション」という最高難度のミッションが与えらるが…。
監督は『メメント』『TENET テネット』のクリストファー・ノーラン。
構想10年のオリジナル脚本で描くSFアクション大作です。
私は、ノーラン監督という時点で、これまで観てきたノーラン監督の映画の傾向から、この作品も複雑な内容だと思い、いつもやっているシナリオの構成や内容を考えることを放棄して、別の観点で見ることにしました。。
夢に階層が存在し、夢の話が展開し、次のシーンでは夢の中の夢のお話が展開し…という夢の世界が何層もにもなるマトリョーシカのような入れ子の多重構造になっています。
それを追うのが結構しんどい(すんません)。
でも見てみると、主役のコブがセリフで状況説明をしてくれるので、分かりやすくはなっていました。
重力をも操れる夢の世界なので、今宇宙に行ってる前澤さんみたく無重力のような空間で奮闘したり、アクションもCGや撮影を駆使してありえない構図になっていたりと、結構視覚的に面白い。
音楽もシーンを感情的に盛り上げるザ・ハリウッド映画という音楽が付けてあって、劇場で見ると大興奮しそうです。
私はそういう中、カット割りを見ていました。
1シーンに誰と誰が一緒に映っているかという。
例えば最初の方のシーンで、ディカプリオと渡辺謙が広い和室みたいな部屋でしゃべっているんですが、そのシーンはすべてディカプリオのアップと渡辺謙のアップのカットバック(切り返し。別々の二つの違う場面を交互に見せてゆく手法)でつながれていて。
相手の背中やぼやけた横顔は映るんですが、そこはボディダブル(替え玉)での撮影でしょう。
多分、ディカプリオと渡辺謙は別撮りなんですよね。
その他のシーンもディカプリオが出ているシーンはカットバックがとても多くて、会話しているシーンで1シーンに2人が同時に映るシーンが1カットあるかないかぐらいの割合。
映っているキャスト全員が見たままその1シーンの現場に同席しているかのように見せている編集&ボディダブル技術に関心してしまいました。
時間的にはキャストのスケジュール調整や待ち時間、経費的にはディカプリオさんの高額なギャラなどの節約になりますもんね。
映画の準備段階の設計図を細かいところまで作り、コンテを忠実に再現、キャストにかかる経費と時間を最小限で撮影し、編集やCGのプリプロダクションの部分に時間をかけてあるという。
これぞ“ムービー・マジック”であり、ハリウッド映画の積算術というか、そういうのが透けてみえて面白いです。
小道具として印象的なのは主人公コブが回す小さな「駒(コマ)」。
コマが回っているうちは現実の世界にいるという設定。
このコマが回っているのかどうか、コマの動向を私たち鑑賞者は気になってしまうように作られていて。
小道具って大事ですね。
↓予告編