『バグダッドの盗賊』(1940年 イギリス・アメリカ)
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ブルースクリーン合成はこの映画から始まった!
豪華セット+特撮満載の、夢と冒険のファンタジー♪
今朝の1日1映画は『バグダッドの盗賊』(1940年 イギリス・アメリカ)を鑑賞。
バグダッドの王が、悪辣な大臣の陰謀によって投獄させられた。
王は牢獄で盗賊の少年と出会う。
少年は王を助けて脱獄するが、大臣の魔法で犬にされてしまう……。
少年の活躍を描いたフルカラーのファンタジー作品です。
1940年制作って、戦争前夜ですよね…。
最初はイギリスでの撮影中されていましたが、ブリッツ(ロンドンでのドイツの空襲)のために、その後の制作はハリウッドに移されたそう。
その後非常に長く中断されたため、主演の少年サブは数インチ成長し、初期のシーンを再撮影する必要があったとか。
また群衆シーンのエキストラは、男性がイギリス軍に兵隊にとられているので、女性が男装して出演しています。
厳しい時代にも映画を撮っていたことをうかがわせますよね。
そんな時代にも関わらず、こんなに鮮やかで、大がかりなセットや特撮で撮影されているというのが驚きです。
『オズの魔法使』もこの時代の素晴らしい映画ですが、この映画も負けてないというか、それ以上に豪華!
お話はディズニーの『アラジン』で、『千夜一夜物語』のアレンジ。
だけど、構成や内容が若干違っていて、こっちの方がいろんな要素が詰め込まれている印象。
この作品、一番の注目は特撮なんですが、空を飛んだり、巨人と会話したりと、合成のシーンがかなりあります。
調べてみると、ブルースクリーン合成を使用した最初の映画とのこと。
この映画でラリー・バトラーが映画の合成技術を発明し、のちに様々な映画に影響を与えたんですね。
人間の周りにうっすらと青い輪郭が見えるんですが、それくらいはぜんぜん気にならないくらいの技術です。
王女役のジューン・デュプレはものすごく美しい女優さんなのですが、彼女の衣装にも変化が。
イギリスでの撮影時には胸が大きく開いたセクシーな衣装なんですが、アメリカに移っての撮影は検閲コードの影響からボタンを上まで留めているんですよね。
衣装がその時代の映画撮影状況を物語っています。
そんな時代の影響からか、お話は夢と冒険あふれるファンタジー作品で、今見ても楽しく、きっと子供たちが夢中になったに違いないと感じます。
カメラワークも、ファーストシーンでは活気のある街の様子を映してから一人の男に注目させ集中線のような役割をもたせるなど、観客の興味を見せたいものに誘導させるテクニックが満載です。
↓予告編