『フリーソロ』(2018年 アメリカ)
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ロープ無しで手と足だけで断崖絶壁を登る
まさに命がけのドキュメンタリー
今朝の1日1映画は『フリーソロ』(2018年 アメリカ)を鑑賞。
ロープや安全装置を一切使わずに山や絶壁を登る「フリーソロ」。
その命がけのクライマー、アレックス・オノルドが、米カリフォルニア州ヨセミテ国立公園にそびえる巨岩エル・キャピタンに挑む姿を密着したドキュメンタリー。
臨場感あふれるカメラワークで収め、第91回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞しています。
今日は珍しくドキュメンタリー映画なんですが、この映画はすごいです。
手に汗がじわじわあふれて止まりません!
これほど分かりやすく、これほど危険で爽快な映画ってあるんですかね、っていうくらいぶっ飛んだ内容。
2階以上の高層に住みたくない高所恐怖症の私にとっては、この命がけの行為を「なぜやるのか?」っていう最大の疑問が浮かびます。
その疑問が、「動機」「育ってきた環境や親の育て方」「脳のしくみ」「食べ物」「住まい」「トレーニング方法」「クライミングの技術」「考え方」などナレーションとともにひも解かれていく。
野菜しか食べないんですよ、彼…。
彼の考え方を知るうち、こういう生き方もあるよね、と納得していくんですよね。
意外な展開だったのは「恋人」サンニの存在。
映画のために彼を追う密着取材の途中で彼女ができる。
こういう職業だからこれまでの彼女とはなかなか続かなかったみたいなんですが、サンニの存在が彼のクライミングにとって転機になっていきます。
ドキュメンタリーというのは面白いもので、映画を撮り始める当初は予想していなかったことが起こり、それによってテーマが変わってくる事態が発生する。
「フリーソロ」という命懸けのチャレンジャーに、大切にしないといけない存在の人ができた時に、どう対応し向き合っていくのか。
この新たなテーマが加わることによって、作品をより「誰もが共感できる」内容に仕上げられていることが、この映画のもう一つの魅力のような気がします。
彼女は非常に明るく気さくな女性で、対照的に、孤独を愛しあまり感情をしゃべらないアレックスとお似合いなんですよね。
撮影に関しては、カメラマン自体もクライマーで、崖っぷちから撮影しないといけないので、相当な訓練をした人じゃないとできない。
また、いつ滑落してもおかしくない状況を撮影するということは、目の前で友人が亡くなる覚悟で臨まないといけないという、大葛藤もあるわけで。
登る人、撮影する人、愛する人、この映画に関わる全ての人が極限の心境で臨むという…これ以上の撮影ってないですよね。
危険な行為をすることによって、命を感じる。
日本の侍の精神と近いものを感じているという言葉に、彼にとっては自分との闘いだけれども、ある意味現代の「サムライ」なのかもしれないなと思いました。
ドキュメンタリー映画だけど、「命を懸けて目標を達成する」という、ドラマに共通するエンターテインメントの要素も詰まっていて、勉強になります。
「人はいつか死ぬ。だったら、やりたいことをやる」
人生が有意義になるような、大きな勇気をもらいました。
↓予告編