『無ケーカクの命中男 ノックトアップ』(2007年 アメリカ)
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「お互いに想定外。でも人生ってそんなもんさ。
流れに逆らわないことだ。一緒に進むぞ イエーイ!」(映画より)
即興で作り上げる面白さ。
今朝の1日1映画は『無ケーカクの命中男 ノックトアップ』(2007年 アメリカ)を鑑賞。
高校時代の交通事故の賠償金で食いつなぎ、バカ仲間との共同生活を送っているダメ男のベン(ローゲン)。
昇進祝いでクラブにやって来たキャスターのアリソン(ハイグル)のナンパに成功し、一夜を共にする。
しかしアリソンがベンの子どもを妊娠してしまい……。
『40歳の童貞男』など、演技に即興を取り入れることで有名なジャド・アパトウ監督によるラブコメディです。
タイトルから、おふざけ系映画かと思って見進めると、確かに冒頭はふざけているんですが、なかなかの感動が。
ダメな男性とデキる女性のアンバランスなカップルが悪戦苦闘しながら成長していくんですが、それがものすごいふり幅があって期待以上でした。
ロサンゼルスが舞台で、映画の雰囲気はとてもおだやか。
仲間たちとヌードシーンが出てくる映画の情報を検索できるサイトを作ろうとしている主人公。
カナダからの不法移民の映画オタクで、お金がないのにマリファナは毎日吸うっていうアンバランスさがリアルで、セリフに皮肉が効いていて、どこか憎めない主人公なんですよね。
女性も仕事をバリバリこなしていたのに1夜の出来事で子供ができてしまってどうしようという感じが非常にリアルで。
姉夫妻からのアドバイスや彼らをモデルとして、これから子供を育てることができるのか、夫婦としてやっていけるのか、それらの不安や葛藤を乗り越えていく姿は、子供を持つまでの誰もがきっと経験する出来事で、非常に共感できるんですよね。
リアルな演技の正体は、アドリブ(即興)。
監督はまずキャストに台本を渡して、それを土台とし、脚本通りにあらすじを撮影していきます。
その後、俳優たちと共同で脚本を変えていくのが好きとのこと。
監督からいろんな提案をして、面白いことが起こるように仕掛けるそう。
俳優たちが何テイクも即興で演じるのを撮影し、その中から面白いカットを編集して入れていくという、ワークショップ的な撮影をしているということで、演技がナチュラルなのはそうことだったんですね。
タイトルがちょっと損をしているなと思えるこの映画ですが、映画の内容も、映画の作り方も、違う角度から考えたり、流れに乗れたりすればうまくいくという、人生のヒントになる作品です。
↓予告編